「小学校のアナログさ」を解消するには

紙の連絡帳は温かみがあるなどのメリットもありますが、手間やリスクも伴います。この点に不満を感じる保護者も多いようで、毎年、小学校の入学シーズンになると、SNSには「小学校のアナログさ」に対する不満の声がたくさん投稿されます。

連絡帳のデジタル化をはじめとするICTの導入は、先生はもちろん保護者の負担減にもつながるものだと思います。どうしたらハードルを乗り越えて導入を進められるのか、私自身も解決策を模索しているところです。

まずは、最大のハードルである「予算」の問題を解決することが重要です。行政や教育委員会には、連絡帳が紙ベースであることでどんな問題が起こっているかを認識したうえで、先生の業務負荷の軽減も見据えて、ICT導入の予算確保や補助金交付を実施していただきたいと思います。

また、保育園などでデジタル連絡帳のメリットを体感した保護者に、PTAでICT導入を主導していただくことも解決につながるのではと考えています。そのためには、デジタル化に時間のかかる小学校より先に学童施設に導入していただき、小学校の保護者の中にICT体験者を増やしていく必要もあるでしょう。

現在、当社では全国およそ1200件の学童施設にコドモンを導入していただいており、今期はさらなる需要の拡大を見込んでいます。最近は、子どもが学校から学童へきちんと移動したかどうか確認したい、しっかり安全管理をしたいというニーズも生まれています。学童施設、小学校、保護者がシステムを通して連携できれば、三者による見守りが可能になります。

デジタル化で先生が子どもに向き合う時間を増やせる

ICT導入に対しては、「アナログvsデジタル」という構図で考える人も少なくありませんが、僕は両方を活用しながら、それぞれのメリットを生かして補い合っていくことが大事ではないかと思っています。

人手や時間には限りがありますから、単純作業はできる限り省力化して、そのぶん手をかけるべきところにしっかり手をかける。デジタル技術はそのためにあります。保育や教育の場に導入すれば、先生の事務作業の時間を減らし、子どもたちと向き合う時間や心のゆとりを増やすことにもつながります。

どんなにデジタル化が進んでも、教育のラストワンマイルは先生たちの手によるものです。先生がハッピーでなければ、子どもたちと向き合ううえでも影響が出てしまうでしょう。これは保護者も同じではないでしょうか。学校でのデジタル活用が「普通」になる日が来るよう、今後も取り組んでいきたいと思います。

(構成=辻村洋子)
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