「天然ガスを止める」と欧州を脅すが…

3月、ロシアのサービス業購買担当者景況感指数(PMI)が52.1から38.1に大きく低下したのはその裏返しに見える。欧米企業の撤退によってロシア資本が運営するサービス業の供給能力の低さがあらわになったといっても良い。製造業(工業力)の弱さは、エネルギー輸出にも関わる。ロシアは主にはノルドストリーム1などパイプラインを通してドイツなどに天然ガスを輸出する。それは液化技術の不十分さを示唆する。

ロシアは天然ガスの供給を止めると西側諸国に警告を発しているが、外貨獲得を考えるとその実行は容易ではないだろう。それは、プーチン大統領の姿勢から確認できる。3月下旬にプーチン大統領は天然ガスの購入代金をルーブルで支払うよう非友好国に圧力をかけた。

その目的はルーブルの売り圧力を少しでも弱めることや欧州などへの脅し、天然ガス価格押し上げによる利得増加などだろう。その後、プーチン大統領と会談したイタリアのドラギ首相はロシアがルーブルでのガス代金支払い要求を後退させたとの見方を示した。

米ドル建て国債の半分以上をルーブルで買い戻し

プーチン政権にとってエネルギー資源などの輸出による外貨獲得は、社会と経済運営のために手放せないと考えられる。その状況下、中銀が海外で保有していた資産が差し押さえられたインパクトは非常に大きい。金融制裁によってロシアの米ドル資金は枯渇し、デフォルト懸念が高まった。

ロシア経済は追い詰められている。3月31日にロシア財務省が4月4日に償還期限(満期)を迎える20億ドル(約2470億円)の米ドル建て国債のうち、14億4760万ドル分をルーブルで買い戻したのは、外貨の枯渇がかなり深刻だからだろう。なお、買い戻しに応じたのはロシア国内の投資家が主だったとみられる。

4月に入ると、ロシア軍が民間人を多数殺害した疑いが浮上し、欧米各国はロシアへの制裁を強化した。4日に米財務省は、米金融機関によるドル建てロシア国債の元利金支払い手続きを承認しなかった。そのため、6日にもロシアはドル建て国債の元利金をルーブルで支払った。ロシアは約束通りに債務の返済を行っていない。