武蔵小杉タワマンの未来は、ニュータウンの末路に近い

ブランド住宅地はただ単に、お洒落だから、流行に敏感だから、芸能人が住んでいるからなどといった要素で決まるものではなく、長い歴史の中でできあがってきた強固な価値、そのものなのである。

牧野知弘『不動産の未来 マイホーム大転換時代に備えよ』(朝日新聞出版)

おそらく武蔵小杉を含むタワーマンション林立地域の未来は、ニュータウンの末路に近いものとなるだろう。

タワマンはニュータウンの高層版であり、ニュータウンよりも始末に悪いのは、建物の中にあるゆえに、全員の意見を集約していかなければ、建物の価値を高めていくことができないところにある。

ニュータウンがオールド化してだめになったのは、もともと歴史も何もない山間部や台地をブルドーザーで切り崩して、無理やり開発したものであるために、人々が土地に歴史を刻めないこと、そしてもともと災害に対処して形成されてきた街ではないため、未来に確実にやってくるだろう自然災害の数々に対して、どのような対応ができるのかもはっきりしないことにあるのだ。つまり、土地に価値がないということなのである。

ブランド住宅地を買う人に対して、私は基本的に「NO」というアドバイスはしない。多少の価格変動があってもそれは景気動向など短いタームでの変動にすぎないし、中長期的には歴史を重ねつつ確実に生き残っていくのがブランド住宅地であるからだ。

外国人も含めてみんなが憧れるところには常におカネが入り込む。土地の価値に対する評価にはおカネも敏感なのである。

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