レゴブロックを使って課題解決を考える入試
興味深いのは入試の多様化です。名称も総合型・論述型・自己アピール型・思考力型・AL(アクティブラーニングの略)型、PBL(問題解決)型などさまざま。レゴブロックを使って考えるものづくり入試、ワークショップ型の入試、プログラミング入試など、これまでの入試のイメージを覆すユニークなものが増えています。先述した日大豊山女子では「プレゼンテーション(課題解決型)入試」も行っています。
こうした入試の先駆けとして、レゴブロックを使った入試で話題になったのが聖学院中学校・高等学校(東京都北区)です。同中学校では今年も、「英語特別入試」の他に「ものづくり思考力入試」「M型思考力入試」「グローバル思考力特待入試」が行われました。ものづくり思考力入試で重視しているのが、創造的思考、M型思考力入試で重視しているのが批判的思考とデザイン的思考、そしてそれらに加えて、協働的思考を問うのがグローバル思考力特待入試とのこと。
グローバル思考力特待入試では、受験生は与えられた資料を読み解き、レゴブロックを使って課題を解決する方法を表現。さらに、協働振り返りの時間で、他の人たちの作品と発表を聞いて、新たな発見を見出し、自分の考え・作品・作文を見直し、完成した作品とともに、個人面接に臨みます。
いずれの入試でも求められるのは、何らかの社会課題の解決策を考えること。大人でもかなりの思考力を必要とされるなかなかの難題です。
入試と教育内容が一致しているか、よく見たほうがいい
このような新タイプ入試を行う学校は2014年の15校から2021年には152校にまで増えており、延べ応募者数も1万4500人に上っています(首都圏模試センター調べ)。
反対に、こうした新タイプ入試の広がりと共に課題となっているのが、入試と実際の教育内容が一致しているのかどうかということです。中には入試で思考力を問うのに、入学後の授業は従来型の知識偏重型という残念なケースもあるようで、保護者の間では、これをブラック入試と呼んでいるそうです。
しかし、私が取材した探究型の学びを取り入れている学校の新タイプ入試は、それぞれの学校のアドミッションポリシーを反映した内容になっていて、評価もしっかりしていました。やはり、入り口と中身がどう繋がっているのかを見極めるのは大事なことです。
例えば、以前このサイトで紹介したかえつ有明中学・高等学校(東京都江東区)では、2011年からクリティカルシンキングをベースにしたサイエンス科のアドミッションポリシーを反映した「思考力特待入試」を実施。さらに、2016年から、グループワークを通じて一人ひとりの良さを引き出しながら、能動性や共感性、受容力や表現力を評価する「アクティブラーニング思考力特待入試」を始めました。