日大豊山女子が始めた「英語インタビュー型」入試

実際、私が取材した、日大豊山女子中学校・高等学校(東京都板橋区)の「英語インタビュー型入試」は、1人10分程度の英語による口頭試問のみで、英検の2次試験と同様の形式で行われました。同校の求めるレベルは英検3級程度。簡単な挨拶と自己紹介が終わると、机に置かれた短文を30秒で黙読し、その後それを声に出して読むように促され、さらにそこに書かれた内容についての質問に答えます。最後は、ホワイトボードに貼られた写真から一つを選び、選んだ理由や自分が好きなものについて、30秒で3センテンス以上の文章を考え、話すように指示されます。

日大豊山女子で行われた英語入試の様子
画像=日大豊山女子中学校・高等学校
日大豊山女子で行われた英語入試の様子

こちらの学校の英語入試の評価ポイントは、質問を聞き取り理解しているか、自分の言葉で話せるか、読む力はあるかです。

担当教師は「もちろんそれぞれの評価ポイントはありますが、たとえ文法的に間違っていたとしても、なんとか自分の考えを伝えようとする姿勢があればそこを評価します」と言います。だから、答えに詰まっていた受験生に対しても、そこで終わりにせず、なんとか受験生が答えられる質問に切り替えて、力を見極めていたのですね。

英語入試をしていない学校でも、英検などの資格取得によって得点が加算されるというケースもあり、今後、帰国子女だけでなく、習い事の一つとして英語に親しんできた子供たちにも、中学入試の新たな扉を開くことになるでしょう。

公立中高一貫の受験生向けに始まった「新タイプ入試」

もうひとつの流れが、「新タイプ入試」と呼ばれるこれまでにない形態の入試を実施する学校が増えていることです。

もともとは公立中高一貫校受験生の受け皿として始まった入試で、公立中高一貫校の入試で実施されている適性検査に準じた問題が出題されてきました。適性検査の出題のポイントは大きく2つ。1つ目は、「いかに覚えたか」ではなく、「いかにその場で考えられるか」という思考力・判断力を問うこと。2つ目は、「自分なりの提案や意見」をその場で表現できるかということです。

公立中高一貫校ができた当初、従来の私立中学受験とは対策が異なるために私立中学との併願は難しいと言われていましたが、新タイプ入試を実施する学校が増加したことで公立中高一貫校との併願が可能になり、私立中学受験に新たな層を生み出しているのです。