中学入試が多様化している。教育ジャーナリストの中曽根陽子さんは「英語入試を取り入れる学校や、『新タイプ入試』と呼ばれる入試を実施する学校が増えている。私学における教育の質の変化を示しているのではないか」という――。
クラスで授業中に挙手する女子生徒
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入試の形に変化が起きている

今年、首都圏で実施された中学入試の受験者数は、前年に比べて1050名増のおよそ5万1100名(首都圏模試調べ)でした。2015年から8年続きで増加しており、中学受験史上最多の受験者数です。新型コロナによる一斉休校以来、公教育への不満から中高一貫校へ進学を考える層が増えたと言われていますが、ここ数年、入試自体に変化が生まれつつあることも受験者数を底上げしているようです。

これまで、私立・国立中学の入試は、算国理社の4科目・算国の2科目受験が長く続いてきましたが、数年前から算数・国語の1科目入試や得意な科目を選択する入試を実施する学校が増えてきて人気が上がっています。さらに、「英語入試」や、思考力テストによる入試、プレゼン型入試など「新タイプ入試」と言われる入試を実施する学校が増えており、それらにチャレンジする層が増加したことも受験者数を押し上げる結果になっているようです。

英語入試のレベル、試験形式は多種多様

まず「英語入試(単独・選択)」について。2022年は小学校で英語が教科化されて初めての入試ということもあり注目されていましたが、前年の143校から3校増えて、計146校(うち私立中145校・国立中1校)となりました。

英語入試を導入している多くの学校では、英語のみの単独入試を行っているのですが、江戸川学園取手中学校・高等学校(茨城県取手市)では、2022年入試から全回、英語を含む5教科で実施しました。今後こうした動きが広がるのか興味深いところです。

一口に英語入試と言っても、学校によって求められるレベルはさまざま。多くは「英検3級程度」など、問われる英語力の目安を示しているのでレベルに合わせて学校選択をすることになるのですが、ペーパーテストだけではなく、スピーキングやリスニング力も測るところがほとんどなのが共通点です。加えて、今年はペーパーテストを行わず、インタビューや対話形式での面接や、グループワークを通して、受験生のリスニングとスピーキングの力を評価する学校も現れました。