HV、PHV、FCVも廃止するホンダ

一方、トヨタ以上にEVに消極的だったホンダだが、一転して2021年4月23日、2040年には世界で販売する全ての新車をEVとFCVにすると発表した。

特筆すべき点はHV・PHVも廃止すると決めたことだ。「HVを電動車として残す」というトヨタとの違いが鮮明になった。

ホンダはこの発表の2カ月後の6月15日、FCV「クラリティ フューエル セル」の生産を年内で中止すると明らかにしている。

FCVを生産中止にした理由は単純、ほとんど売れていないからだ。「クラリティ フューエルセル」は2016年3月に発売し、現在までの5年間で世界販売台数が約1900台に留まっている。

売れないのは「クラリティ フューエル セル」だけではない。トヨタ、現代を合わせた3社で、2020年に全世界で販売した水素燃料自動車は1万台に満たない。

初のEV「ホンダe」も世界で戦うには物足りない

ホンダのEV路線を象徴するのが、同社初のEVである「ホンダe」だ。

2019年3月のジュネーブ・モーターショーで発表され、同年10月の東京モーターショーで日本仕様が参考出品、2020年10月30日より日本での発売が開始された。

期待される「ホンダe」だが、量産EVではあるものの、EV市場を獲るには物足りない点が多い。蓄電容量は35.5kWhで、航続距離は、136ps仕様が283km、154ps仕様は259kmだ。

数字はWLTC基準(国際的なモード燃費の測定法)なので、実際の走行条件に近いEPA基準(米環境保護庁が提唱している測定方法)だとそれぞれ250km、230km程度しかないことになる。2020年に発売されたEVとしては物足りない性能だ。

しかも乗車定員4人で価格451万円(税込)はさすがに高いのではないか。現在この価格帯のEVなら航続距離は400kmが相場になっている。

「ホンダe」は「都市型」というコンセプトに基づくという。確かに街乗り中心なら航続距離250kmでも実用には耐えるだろう。だとしても価格は300万円程度まで下げないと、他のメーカーとの比較で負けてしまう。

ホンダにとっては「ホンダe」はまだまだ試作段階なのだろう。年間販売目標もヨーロッパで1万台、日本では1000台である。