“死後ステータス”を望む故人や遺族に寺が戒名を「販売」

一般の方の意見(一部を紹介)はこうだ。

「お寺の経営状況をもっとオープンにしてもいいのではないか。そうすればお布施の必要性、今後の在り方が一般人にも明確になるのではないでしょうか」
「(日本は)日々積極的に托鉢に応じる国ではないので、まとめてお布施をお渡しするのにあまり抵抗がない」

このように比較的、寺院運営にも理解を示す人が一定数いる一方で、辛辣な意見もあった。

「先日、親の葬儀でものすごい金額のお布施をした。落ち着いてみると、坊主丸儲けという言葉はまんざら嘘でもないという気がしている。来てくださった僧侶の方はとても立派な方だったと思うし、心の底から感謝している。しかし、それにしても、金額が高すぎて(大卒初任給の2カ月分ほどかと)、自分の葬儀の時は子供に払えとは言えない」
「お通夜、お葬儀のあとは七日法要、四十九日、お彼岸、初盆、一回忌、三回忌、それが来るたびにお布施。凄く苦しかったです。お金さえあればたくさんお包みできました。最低限しかお布施できなくてどんどん肩身が狭くなっていきました。そうなると法要が苦痛でしかなくなります。徳を積む=高額のお布施?」

アンケートの自由回答では「戒名次第で布施金額が変わる」と述べた僧侶が複数いた。つまり、「院号」「居士」「大姉」などを授与した場合、別途、布施が必要ということだ。

確かに、「院号」は古くは伽藍(院)一棟を寄進するなど、寺の護持発展に貢献した檀家に与えた経緯がある。「居士」や「信士」などは、「信心の深さ(信仰の尺度)」によって付けられたものであり、本来は「ランク(死後の地位)」ではない。

それが近年、“死後ステータス”を望む故人や遺族に対して、寺が「販売」するようになったのだ。

写真=iStock.com/kunertus
※写真はイメージです

戒名でトラブルになるケースとして、「院号」などの戒名を僧侶が遺族に押しつける場合がある。「あなたの一族は、これまで院号居士をつけている。なので、今回の葬式でも院号居士をつける。その戒名代は◯万円」という具合に。こうなれば、カルト教団の霊感商法とさほど変わらない。

あくまでも私見であるが、伝統・文化の側面があるとはいえ、「死後の身分格差」ともいえる戒名のランクにどれほど意味があるのか。クレジットカードのように、ステータスランクを設けるから高位を欲する人が出てくるのだ。寺院護持を考える僧侶にも欲が出てしまう。

また、戒名は「男女の区別」がなされているため、LGBTQ の人は望まない性別の戒名を付けられてしまう可能性がある。戒名自体を否定するものではないが、戒名によって苦しめられている人が大勢出現してきている現代においては、男女含めて1種類でよいのではないか。ちなみに浄土真宗本願寺派は「釈◯◯」のようにシンプルな戒名(浄土真宗では「法名」という)だ。

儀式などの伝統は守りつつも、社会の価値観にあわせて改善していくことも、今の仏教界には必要なことかもしれない。

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