「一時金辞退」だけでは済まされない

今となっての「一時金辞退」は当然ですが、それだけで済むと思ったら大間違いです。

降嫁した元皇族の警備は必須。ニューヨーク市警や日本総領事館が担うと思われるフォローや警護に関する諸経費は国内よりはるかにかかるはずで、そこに税金が充てられることになります。

英国のハリー王子とメーガン妃の場合、米国移住に当たり、警備費を「私的な財源で賄う」と公表しながらも、実は父チャールズ皇太子が相当額を援助するとされています。ともあれ、少なくとも眞子さまと小室さんも「警備費も自分たちで賄う」位の覚悟を示さなければ、国民の理解は得られないのではないでしょうか。

ニューヨーク州弁護士になれば年収1500万円~2000万円とも言われますが、物価の高いマンハッタンでは、住居費だけでも相当に高額です。アパートメントの一室を購入するなら、一時金の1億5000万円でも足りません。賃貸なら、最低限の安全を確保する「ドアマン付き」のワンルームが最低で月2000~3000ドル(22万円~33万円)、2人暮らしの部屋なら5000~1万ドル(55万円~110万円)は下らないでしょう。

写真=iStock.com/Rakesh Goudar
※写真はイメージです。

小室さんの想定年収で、住居費や警備費がまかなえるとは考えられません。就職内定で「生活のめどが立った」などと言うのは筋違いです。

ニューヨークの「駐在員妻」は自由が利かない

その「就職内定」にもいくつもの不安要素があります。私はコロンビア大学ビジネススクールに研究員として1年間、ニューヨークに滞在しました。住んだのはマンハッタン中心部、小室さんが通ったフォーダム大学の近くでしたが、失礼ながら、この大学はあまり印象に残っていません。

ニューヨークにおけるロースクールといえば、まずはコロンビア大学、次いでニューヨーク大学で、フォーダム大はその2大学からうんと水をあけられた「3番手以下」の印象でしょうか。就職後の想定年収は上位校ほど高いのが当たり前。「3番手」の出身の日本人が、競争の激しいニューヨークの法律事務所で生き残るには、相当にハードルが高いことが推測されます。

また眞子さまの立場は「駐在員の妻」になるのでしょうが、ビザの関係で自由にアルバイトをすることもできないはずです。私が知る多くの「駐妻」は暇を持て余し、語学学校に通う位しかすることがなく、孤独感から精神的に参ってしまった人もいました。

演劇も音楽もエンターテインメントも豊富な街ですが、お金はかかります。ニューヨークで、眞子さまが精神面、物質面、安全面ともに満ち足りた生活を送れるのか、甚だ疑問です。