習氏が目指す「3期続投」にも暗雲

海外に起因するリスクも高まっている。特に、米国の金融政策の転換のインパクトは大きい。3月以降、米連邦準備制度理事会(FRB)は利上げとバランスシート縮小による流動性の吸収を開始し、米金利は上昇する可能性が高い。その一方で、主要国の中央銀行の中で中国の金融緩和姿勢は鮮明だ。米金利の上昇によって中国から流出する投資資金が増えるだろう。

中国経済の専門家の間では、2022年の実質GDP成長率が4%台前半に低下するとの予想が増えている。経済成長率の低下は社会心理を不安定化させ、習氏の政権運営にもマイナスの影響が及ぶ恐れがある。中国の政治や経済の専門家の一部からは、共産党内部で景気減速を食い止められない習政権への不満や批判が増えているとの見方が出始めた。

秋の党大会で3期続投を目指しているとみられる習氏が、毛沢東に並ぶ地位に上がれないのではないかと不安視する専門家もいるようだ。景気減速によって、習政権への不満は増える可能性がある。その展開が現実のものとなれば中国経済の先行き不透明感は一段と高まる。

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