「前期→後期」で医療費1.6倍、介護費10倍に膨らむ

2025年問題で特に深刻なのが、医療・介護費用の増加とそれに伴う現役世代の負担増です。具体的には、75歳以上の後期高齢者の医療費は1人当たり年間約92万円で、65~74歳の前期高齢者の約55.5万円と比べると、約1.6倍となっています。

また、介護費用は、後期高齢者では1人当たり年間約47万円で、前期高齢者の約4万9000円のおよそ10倍まで膨れ上がります。なお、厚生労働省のデータによれば、日本人が生涯で使う医療費は1人当たり2700万円ですが、75歳以上でその4割にあたる1000万円を費やすとされています。

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さらに今、「2040年問題」と呼ばれる問題も叫ばれています。これは、2040年頃には団塊ジュニア世代が高齢者となり、65歳以上の人口が約4000万人でピークに達するとされ、さらなる医療・介護費の増加が見込まれる問題です。

財務省は、団塊の世代全員が75歳以上となる2025年には、医療と介護にかかる費用が2018年と比べてそれぞれ1.2倍と1.4倍に、2040年には医療・介護費は2025年と比較してそれぞれ1.4倍、1.7倍に膨れ上がると予想しています。これらの結果、社会保障給付費は今後も持続的に増加し、2025年には約140兆円、2040年には約190兆円まで増加すると予測されています。

医師の長時間労働で支えられている日本の医療

ところで、医療や介護が抱える問題はその費用だけではありません。まず、医療について見ていくと、「医療従事者の長時間かつ過重労働」という問題が挙げられます。現在、日本の医療は医師らの自己犠牲的な長時間労働に支えられています。

厚生労働省が実施した勤務医の勤務実態調査によると、一般に「過労死ライン」と言われる月に80時間以上の残業を超えて働く医師が全体の約4割、過労死ラインの2倍を超えて働く医師が1割弱存在しています。また、総務省「就業構造基本調査」によると、1週間の労働時間が週60時間を超える割合を職種別にみると、雇用者全体の14%に対して、医師は41.8%と最も高い割合となっています。