夫に家事・育児を丸投げすれば妻が幸せになるわけではない

図表1は、家事・育児分担割合別に妻の幸福度の平均値を示したものです。分析対象は59歳以下の働く既婚女性であり、夫が就業している場合に限定しています。

妻の幸福度には「5=とても幸せ」から「1=とても不幸」の5段階の指標を使用しています。また、妻の家事・育児分担割合には、1週間における夫と妻の家事・育児時間の合計に占める妻の家事・育児時間の比率を使用しています。

この図は興味深い結果を示しています。

それは、「妻の家事・育児分担が少ないほど幸福度が高くなるわけではない」という点です。

図中では働く妻の家事・育児分担が25~49%の時に幸福度が最も高くなっています。

妻の家事・育児分担割合が24%以下や75%以上の場合だと、幸福度がやや低くなっているのです。

この結果から、家事・育児を夫に丸投げすれば妻が幸せになるわけではなく、夫婦間で一定割合ずつ負担しあうことが望ましいと考えられます。

妻の幸福度が最大となるのは、分担割合が58%の時

さて、ここで次に気になってくるのが、より具体的に妻の家事・育児分担が何%の時に幸福度が最も大きくなるのか、という点です。

この点を算出するために、統計的手法を用いてシミュレーションを行いました。このシミュレーションでは、夫婦それぞれの年齢、学歴、所得水準といった個人属性の違いをコントロールしたうえで、妻の家事・育児分担割合と幸福度の関係を推計しています。

図表2のシミュレーション結果を見ると、働く妻の家事・育児分担割合が「58%」の時に幸福度が最大となっていました。

この結果から、「夫婦間でだいたい6対4の割合で家事・育児を分担すると働く妻が最も幸せになる」と言えるでしょう。