④相手が使っていた場合
こちらは①〜③とはまったく事情が異なる。むしろ人間的な親しみを示すために「お世話になっております」と書くケースだ。
たとえば私の場合でも、本当の意味で平素からお世話になっている恩人の1人に、「お世話になっております」でメールを書きおこす人がいる。相手がこの表現を使っているので、礼を失さないように似たような表現で返す――。このようなケースもないではない。
「お世話になっております」の代わりになるフレーズ
逆にいえば、先にあげた①〜④以外の場合では、「お世話になっております」は使わなくてもいい。
相手と人間的な関係を構築したい場合、定型句を連発するのは避けたい。とはいえ、メールごとに違う書き出しを考えていたのでは手間がかかりすぎる。
そこで私がよくおこなうのが、各種の局面で使う言葉のパターンを事前にいくつか準備しておき、そのときに最適な表現をかわりばんこに出していく方法だ。
たとえば、「お世話になっております」を使わない書き出しには、次のような例が考えられる。
「おはようございます」
「夜分に失礼いたします」
「休日にご連絡を差し上げて申し訳ございません」
・返信の場合に
「ご連絡をありがとうございます」
「興味深く拝読いたしました」
・何かをおこなってもらった場合に
「ありがとうございます」
「ご配慮をいただき恐縮です」
・情報を教えてもらった場合に
「ご教示をありがとうございました。なるほど、○○は××だったのですね」
「たいへん勉強になります」
・天候や時勢に関連して
「ずいぶんひどい台風でしたが、お変わりはございませんでしょうか」
「コロナ禍のなかですっかりご無音に打ち過ぎておりますが」
・事前に相手の体調が悪いと聞いていた場合に
「お風邪の具合はいかがでしょうか。大変ななか、ご対応をいただき申し訳ございません」
(※風邪や腰痛くらいの体調不良の場合。難病・重病の場合は「あえて触れない」でもよい)