情報を熟読し、自分で判断する
バフェットは格付け会社など不要だといっているわけではありません。それどころかバフェットは父親の会社で働いていた頃から『ムーディーズ・マニュアル』(日本の『会社四季報』のようなもの)を1ページも漏らさずに読み込むほどであり、ニューヨーク時代にはムーディーズやスタンダード&プアーズに直接出向くほど熱心に資料を読み込んでいました。
バフェットによると「ああいうところに顔を出すのは私くらいのものだった」(『スノーボール(上)』)といいますが、出かけていっては40年分、50年分のファイルを見て、コピー機のない時代、さまざまな数字を手書きでメモしていました。
バフェットはこうした資料の価値をよく知り、こうした資料から投資すべき企業を探し出す能力に長けていましたが、だからといってこれら格付け機関のいうことをそのまま信じるほどのお人よしではありませんでした。
格付け機関はさまざまの資料を基に判断を下します。だからといって彼らのいう通りに投資をしていればいいというものではありません。格付け上のリスクが高い社債を買うこともあれば、格付けリスクは低くとも目もくれない企業は山とあります。
バフェットにとって格付けは重要な情報ではあっても、その価値を判断するのはあくまでもバフェット自身でした。
経済予測も金融政策も気に留めない
バフェットは、会計監査人の意見も参考にはしません。
「もし会計監査人の方が自分より買収に詳しいと思うなら、自分は会計を担当して、その会計監査人に会社を経営させるべきでしょう」(『バフェットの株主総会』)といっています。
バフェットは内部情報や経済予測などに気を留めることもありません。こんなことも口にしています。「(アメリカの中央銀行に当たる)連邦準備制度理事会(FRB)のアラン・グリーンスパン議長(著者注 1987~2006年まで同職)が私のところにやってきて、向こう二年間どのような金融政策をとるつもりか教えてくれたとしても、私の行動に何ら影響することはありません」(『ウォーレン・バフェット 自分を信じるものが勝つ!』)