IMF(国際通貨基金)は救援に入ってくれるだろうが、年金、健康保険、公務員給料その他大胆な歳出カットが前提であり、国民生活のレベルは極端に落ちるだろう。
世界にはハイチのように1日1ドル以下で暮らす人々が沢山いるのに、税収以上のバラまきで今まで実力以上の豊かな生活を享受してきた国民を優遇する理由は無い。自業自得と捉えられてしまうだろう。
2010年代に世界経済を揺るがせた「ギリシャ危機」を思い出して欲しい。諸国はギリシャ国債を大量保有していたため金融システムは危機に陥った。各国は債権放棄などでギリシャ再建に協力したが(もちろん財政状態に多くの注文も入っていた)、日本国債は大部分が日銀を中心とする日本人の保有だ。日本の財務に親身になって警告をしてくれる外国もない。
さらに日本の場合は「バラマキの自業自得。勝手にコケれば」と諸外国に見放され救援にも身が入らないだろうと想像する。また「Japan as No.1」と称賛された1980年頃の経済力はもう日本には無いから、世界経済への打撃はかなり小さくなっている。
これも(さすがに世界の株価は下押しするとは思うが)他国の救援がたいして期待できない理由だ。
放漫財政のツケを政治家は払わない――払うのは国民自身
ハイパーインフレの進行で国民の財産は政府に実質的に回収され(=借金踏み倒しの完成)究極の財政再建がなされる。私たちの財産は国に没収され(=大増税と同じ)、ゼロから再スタートが始まるだろう。
国民の財産をハイパーインフレで充分吸収し終わった後に、政府は新しい中央銀行を創設し、信用力を回復した新通貨の発行さえすればいいのだ。放漫財政のツケは国民が一身に背負うことになる。
終戦直後と同様、希望があれば人間は強く生きていける。これだけ優秀で勤勉な民族の国民だ。これを機に「世界最大の社会主義」と揶揄される経済の仕組みを、真の資本主義体制に変えさえできれば、日本は必ずや復活できると確信する。
政治の力では実践できそうにない。ハイパーインフレという市場の力を借りて、真の資本主義国家ができるのなら不幸中の幸いだ。若者は、我々高齢者が積み上げた借金を返すだけに働かなくてはならないはずだった。財政破綻で借金の無いきれいな日本を若者に引き渡せる――。これももう一つの不幸中の幸いと言えるだろう。
今の日銀は中央銀行の体をなしていない。今回は、日銀の政策金利引き上げの難しさに焦点を当てたが、日銀の問題はほかにも山積みだ。私は中央銀行の「取り換え」は不可避だと思っている。機会があれば他にどんな大問題を抱えているかを述べてみたいと思っている。