何から何までやる必要はない――アンデシュ・ハンセンさん

脳のどの場所をきたえたいかによって、運動の種類も少しずつ違ってきます。

アンデシュ・ハンセン『最強脳 「スマホ脳」ハンセン先生の特別授業』(新潮新書)

しかし、集中力のためにまず30分走って、そのすぐ後に今度は記憶力のために30分走らなければという意味ではありません。30分走るだけで両方の効果があるのです。

よくある失敗は、いきなりきつい運動をやって、しんどくてすぐにイヤになってしまうことです。それでは元も子もありません。

少しずつやっていきましょう。人生で一歩も歩いたことがない人は、一歩目をふみ出すところから始めるのです。いきなりマラソンに参加するのではなくて。

ここでは分かりやすく3つのレベルに分けてみました。ミニマムレベル、ミドルレベル、マックスレベルです。ミニマムレベルをやろうとしないで、脳がレベルアップすることはありません。ミドルレベルは、特に最初のうちは多くの人にぴったりです。数週間続けてみると、大きな違いを感じるようになるはずです。

マックスレベルはオリンピック級の脳を目指す人向けです。

ミニマムレベル:今よりもう少し運動するようにしましょう。「生活の中の運動」でいいのです。今すでにやっていることに加えて、あと少しだけ動いてみて下さい。1日中、生活の中で運動になりそうなことを見つけてやってみましょう。

ミドルレベル:ミニマムレベルでやっていることに加えて、週に2、3回、30分以上、出来ればもう少し長く運動してみて下さい。その間は心臓がドキドキしているようにして下さい。これが脳にとって一番幅広い効果があることが分かっています。効果は運動したすぐ後からその後しばらく続きます。

マックスレベル:ミドルレベルに、インターバルトレーニングを取り入れてみましょう。苦しいと思い始めてからあと少し、しっかり息が上がるように運動して下さい。この運動には長期的な効果があります。自分の体重を利用した筋トレも加えてみて下さい。

脳がレベルアップする

これをしっかり読んだ人は(そしてその通りに運動した人は)前よりも幸せな気分になり、賢くなり、集中も出来るようになり、ストレスに強く、発想力が豊かになり、ゲームも上手くなり、さらには記憶力も良くなっているはずです。つまり、前よりもレベルアップしているのです。どんな気分ですか?

まずは最後まで読んで、それから外に出て運動しようと思っていた人は(それが一番賢い作戦かもしれません)何をすればいいのかもう分かっていますね? 少なくとも、脳のためには運動がとても重要だということは分かったと思います。

脳がレベルアップすると、学校の勉強も楽になります。普段から運動をしている人は数学も、読解も、問題解決のテストでも成績が良いことが分かっています。集中力も上がり、習ったことを覚えておけて、計画したり、決断したり、リーダーシップを取ることも得意になるのです。

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