視力回復のレーシック施術も医療費控除の対象に

医療費控除の対象となる費用は、図表1の通りです。病院などでの診療代の他、医薬品の購入についても対象となります。

また、医薬品については処方されたものはもちろん、市販の風邪薬なども含まれます。ただし、サプリメントなど直接医療と関係ないものについては除かれます。しかし、直接医療と関係ないものでも、医療を受けるための交通費などは医療費控除対象となります。公共の交通手段だとその料金の領収書を受け取ることができませんが、その場合は行った日と目的地に行くまでのルート・金額などをメモして残しておくことで医療費控除の対象とすることができます。

また、タクシーで行った際の費用は基本的に対象とすることはできません。ただし、どうしてもタクシーでなければ病院までの移動ができないなどの特別な事情があれば、対象とすることは可能です。

医療費控除対象となる支出の中で少し変わったところでは、歯の矯正、視力回復のレーシック施術の費用などがあります。

また、分べん費用についても医療費の対象となります。これには、妊娠と診断されてからの定期検診や検査などの費用も含めることができます。

出産のためタクシーで病院に行くことがありますが、これも緊急を要するということで控除対象として認められています。

ただし、分べん費用に関しては、健康保険組合などから出産一時金などをもらうので、その金額については医療費から差し引かなければなりません。

PCR検査が対象になる場合とならない場合

歯の矯正に関しては、それが医療上必要なものであれば、医療費の対象となりますが、いわゆる審美のためのものは対象外となります。ただし、子供の歯の矯正費用については対象となります。

同様に整形施術など、医療上必要のないものは対象外です。また、インフルエンザの予防接種など予防のための費用、健康診断などの費用については、病気にかかり、それを治療するための費用ではないので、医療費控除の対象からは外されます。

新型コロナウイルス関係の費用としてはPCR検査などがその対象となるかどうか気になるところです。

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コロナ感染の疑いのある方に対して行うPCR検査など、医師等の判断により受けた検査費用のうち自己負担分については、医療費控除の対象となります。

しかし、単に心配だからという理由などの予防的な措置として自分の判断で受けるPCR検査などの検査費用は、医療費控除の対象となりません。

ただし、そのPCR検査の結果、「陽性」であることが判明し、引き続き治療を行った場合には、その検査は、治療に先立って行われる診察と同様に考えることができますので、その検査費用については、医療費控除の対象となります。その時の状況によって医療費の対象になる場合とならない場合があるので注意が必要です。