競争の舞台は商品からエコシステムへ

従来、あらゆる産業における競争は商品やサービスの領域が舞台であり、それらが安価で良質であることが、競争力の源泉でした。しかし、今や競争の舞台は「プラットフォーム」「エコシステム」へと移行しています。スマホはその代表的な事例です。

田中道昭『モデルナはなぜ3日でワクチンをつくれたのか』(インターナショナル新書)

アップルは、デバイス(iPhone)をつくるだけに終わらず、OS、アプリ、サービスといったエコシステム全体で勝負をしかけ、携帯電話市場をスマホによって完全に上書きしてしまいました。同じことを、アマゾンはヘルスケア産業で、アマゾン・ヘイローを武器に行おうとしています。

いずれ実現するかもしれない「アマゾン病院」も、こうしたエコシステムの一部。患者一人ひとりも、アマゾン・ヘイローを装着することで、エコシステムの一部となるのです。アマゾン・ヘイローが把握する患者個人の医療データ・健康データが、ヘルスケアのカスタマイゼーションの起点に。それがあってはじめて、ベゾスなら目指すであろう顧客中心のヘルスケアが実現するのです。

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