90分刻みで「パパ」とアポイント

「そのときは、食費とかだいぶ削らないとやっていけないくらいの感じでした。いよいよ苦しくなってきたので、パパ活サイトに登録したら、いろんな男性からメッセージがきた。できるだけ食事だけで引っ張るって感じでやっています」

顔合わせ5000円~1万円、食事1万円とおおよその金額を決めて、メッセージがきた男性に会いまくった。夏休み中は朝10時、11時半、13時、14時半、16時と90分刻みでどんどんアポイントをいれる。そして何人かのパパ活男性と会ってから、19時に吉原に出勤する。家に帰ってくるのは深夜1時を越える。ヘトヘトである。

「いまは昼間にパパに会って、夜は吉原って感じ。学校があるときは17時にパパ活でひとりだけ会って、19時から出勤とか。そういう生活です。パパ活では大人したら5万円もらっています。パパ活では基本的にエッチしないつもりで、茶飯のつもりでやっているんですけど、大人をする場合は相手を選んでいます。この人ならいいかなと思ったらやります。

一番は見た目ですね。少しでも好きだなと思える相手だったらリフレッシュにもなるし、お金にもなるし。素敵おじさんとなら、まあいいかなって」

「親はわかっていると思います」

顔合わせと食事で一日何人もと会っても、大人がなければ稼げるのはせいぜい2万円~3万円程度だ。顔合わせ、茶飯は人を選ばずに会っているので、デブ、ハゲはあたりまえで、横暴にセックスを誘ってくる人もいる。お金がないときでも、パパ活ではやりたくない相手はやんわりと断っている。ちなみに大人の関係になるのは、清潔感あるダンディでコミュ力がある男性だという。

中村淳彦『パパ活女子』(幻冬舎新書)

「私みたいなのは、いまは大学生として普通だと思います。決して特別じゃないです。たまに家庭のバックアップがある恵まれている子もいます。けど、私みたいなほうが多いんじゃないかな」

お盆と正月には実家に帰る。先日、パパ活漬けだった夏休みの合間に実家に戻っている。母親は東京でどんな仕事をしているのか、学生生活はどうなのか、一切聞いてこない。

「私がなにをやっているのか、わかっていると思います。でも、なにもいってきません。私はなにも口出しはしないからって」

大学進学は本人の決断で成人もしている。娘にセックス漬けの生活はしてほしくなくても、それをやめさせれば、高額な学費を誰かが払わなければならない。やめてといいたくても、いえない。娘を大切に育てても、自分にお金がなければ、大学生になった瞬間に夜職や売春、パパ活の道を選択してしまう。絶望的な現実があるのだ。

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