立派な看板と自分自身の「人としての存在価値」は関係ない

しかも、多くの人たちが価値を認めてくれそうな看板は、当然のことながら人気が高く、そこには必ず競争がつきまとい、「人との比較」が発生します。

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世界は広く、必ず「上には上がいる」ので、競争や人との比較を続けている限り、心の底から満足することはできません。

そのため、いくら努力して立派な看板を手に入れても、競争に負けたりうまくいかないことがあったりすると、すぐに「だから私はダメなんだ」と思ってしまうのです。これがDWD病のメカニズムです。

「エリート」と呼ばれ、地位や年収、世間からの評価、プライドは高いものの、自己肯定感を持てず、自分の物語を生きられず、DWD病を抱えている人もたくさんいます。

彼らが一生懸命ミッションをクリアすればするほど、世間からの評価だけが「身の丈」を飛び越え、空虚な風船のように膨れ上がっていきます。

ですが、その風船は、針の穴ほどの小さな少しのつまずきではじけ、「自分はダメなんだ」と悩み、落ち込んでしまいやすいのです。

失敗したときこそ信頼できる人に話そう

本当は欲しくないもの、あなたを本当に満たしてくれないもの、幸せにしてくれないもののために、人生の貴重な時間を費やしたり、一喜一憂したりするのを防ぐためには、このDWD病を治療する必要があります。

ほかの多くの病気同様、DWD病治療の第一歩は、病気を認識することから始まります。

DWD病は脳の奥深くに潜み、勝手に発動するので気づきにくいのですが、失敗したときやうまくいかないことがあったとき、自分の思考を注意深く観察してみましょう。

「だから私はダメなんだ」「やっぱり私には価値がない」といった考えが浮かぶようなら、あなたはDWD病の可能性があります。

自分では「失敗だ」「うまくいかなかった」と思っていることについて、信頼している相手に話してみるのもいいでしょう。

もしかしたら、話しているうちに、自分が「だから私はダメなんだ」という考えに侵されていることがわかるかもしれないし、話した相手から「それ、別に失敗じゃないよね?」と指摘してもらえたり、「いい経験をしたね」と思いもよらない解釈をしてもらえたりするかもしれません。

仮に具体的な気づきや指摘がなくても、「他の人に自分の『失敗』や自分の欠点について話し、受け入れてもらう」ことができれば、それだけで人は救われますし、少しずつ自分を肯定できるようになります。