「今ならロレックスのデイトナが…」1本転売で180万円儲かる話

だまされるかだまされないか。それを分けるのは、タイミングです。ある瞬間、ツボにはまってしまうとあっと言う間に、相手の術中にはまってしまいます。

彼女の場合、最近、エルメスのバーキンやロレックスのデイトナが高値で買い取りされ、高額転売して儲けている人がいるとの話を知人の社長から聞いていました。その時、実際に店を回ってみると、該当商品はどこも売り切れだったそうです。それゆえに、「商品が優先的に手に入る」という男の言葉に聞き入ってしまったのです。

一週間後、再び会った時、男は女性に言いました。

「今なら、ロレックスのデイトナの値段が高くなっていて、400万円ぐらいで買い取ってもらえる。自分なら、220万円で購入できますよ」

その差額分180万円が儲けになります。そこで彼女は「購入したい」と話し、男の口座にすぐにそのお金を振り込みます。彼女はこの時、万が一の時のために、男の運転免許証を本人の承諾を得て写真に撮りました。

その後、「2週間以内には、商品は届く」と男に言われますが届きません。

連絡すると「もう一度、2週間以内に時計を受け取れるように手配した。もしこれよりも配達が遅れてしまうようなら、いったん全額返金する」と話します。

写真=iStock.com/Murat Deniz
※写真はイメージです(本文とは関係ありません)

「100ドル分のビットコインを海外の自分の口座に送金して」

しかし、時計は届きません。ちょうど、この頃、男は彼女に不可解なお願いをしてきています。

「100ドル(約1万円)分のビットコインで、『海外の自分の口座に送金してもらえないか』と言うのです」

理由を尋ねると、「実は稼ぎ過ぎていて、日本の口座には預金しきれない。そこで、アメリカの銀行に口座を開設したいのだが、ビットコインでの入金実績が必要なんだ。上乗せして返金するから、手伝ってもらえないか?」と言います。

彼女は、海外の口座については詳しくないので、「そんなものだろうか」と思います。まあ、1万円程度なら、いいかな。そんな気持ちもあったかもしれません。そして送金すると、後日、1万円に上乗せした額が振り込まれます。

その後も指示を受けて、数回、送金します。そのたびごとに、入金以上のお金が戻ってきました。

しかし、これはわなでした。

出したお金より、多く戻ることを繰り返し見せることで、彼女からの信頼を取り付けていたのです。