「日本の皇室は世界でも最も閉鎖的で秘密主義的だ」

Q:世界の「王室」の形は歴史や仕組みは国によってさまざまだと思いますが、日本の皇室の印象はどのようなものでしょうか。

世界の中で最も古く、最も(規律などが)厳しい。女性が王位を継承できないし、結婚したら、皇族の地位を放棄しなければならない。女性が王位に就けないのは、中近東やリヒテンシュタインなどほかにもあるが、少数派。そうした特殊な事情ゆえに、日本では、今、皇位継承者が限定されており、まさに存亡の危機と言える難しい状況にある。世界的に見ても、ここまで存続が危ぶまれるロイヤルファミリーはない。まさに、絶滅の危機にある王室だ。

Q:日本の皇室は日本人にとってどのような存在に映りますか。

岡本純子『世界最高の話し方』(東洋経済新報社)

高い血統と伝統を持ち、神道にも結びついており、非常に特別な存在だ。人々から「尊敬される」存在だ。しかし、極めて保守的で、若い世代はもっとアップデートが必要と思っているのではないか。日本は非常に現代的で、先進的。世界の王室が進化し続けているのに、日本の皇室はそうなってはいない。

王室は人々の模範である。女性たちに、「結婚したら、あなたは皇室を出なければならない」「女性は皇位を継承できない」というのは、現代社会においては時代遅れの側面がある。日本には、かつて女性天皇がいたこともある。女性が皇位に就くことは女性のエンパワーメントにおいても大きな意味がある。

リヒテンシュタインやサウジ、ヨルダンなどは男性しか王位に就けない。モナコでは、双子がおり、女の子が先に生まれたが、弟が王位を継ぐ。スペインでは王女が継ぐが、彼女に弟がいたら、弟が継いでいただろう。男の子がいない場合だけに女性が継げるというケースも多い。イギリスでは、最初に生まれた子が男女問わず、継ぐことができるように法律を変えた。伝統も大切だが、王室も時代に即して、変えるべきは変えていくという柔軟性も求められるのではないか。

Q:日本の皇室・宮内庁のコミュニケーションのあり方に問題はあると思いますか。

日本は先進国なのに、皇室は過去を生きている。世界でも最も秘密主義的で、それは非常に不可解だ。プライバシーは大事だが、オープンであるべき。いまだに情報発信手段として、ソーシャルメディアもない。まるで、皇室の人たちは、皇居という「檻」に閉じ込められているかのようだ。情報をほとんど開示しないし、プレスリリースもほとんど出さない。宮内庁にも何回もコンタクトしたが、ほとんど情報が得られない。

上皇殿下は、開かれた皇室に向けていろいろ努力してきたようだが、パンデミックの影響か、現在の皇室(宮内庁)はコミュニケーションという観点では、世界で最も閉鎖的な王室の一つになっている。今回の(眞子さん、小室圭さんの結婚を巡る)騒動も、そうしたコミュニケーション不足や行き違いが大きな要因となっていることは間違いないだろう。

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