免罪符は「自分の病気」か「身内の不幸」

次にご紹介するのが、「免罪符」。

「減らす、やめる、断る」を徹底的にやるためには、「免罪符」が必要です。

「自分の病気」か「身内の不幸」……日本ではこれが、免罪符になります。

驚きましたか。ちょっと抵抗感のある人もいるかもしれません。ですが、世間的な付き合いというのは、ルールがありそうでないものです。人生、「高く登ろう」と思うなら、自分の足を使うこと。そう、主体的になることです。ですから、余計な関係を整理していくのは、とても大事なことなのです。

とはいえ、整理されてしまう側からすれば、手放しで受け入れるわけにもいかない。そのとき、「まあ、しょうがないな」と世間様に言ってもらうためにこうした免罪符を使うのは、決してルール違反ではありません。お互い、それなりに納得できるからです。

社会経験が豊富なあなたは、きっと「あぁ……」と苦笑いしたことでしょう。

病気になったから、自分の人生を取り戻せた

ただ、ここで強調したいのは「免罪符を使え」ではなく、「免罪符を使ってでも断捨離せよ」というポイントです。そうすることで得られるもの、気づけること、行き着く境地はかけがえのないものだからです。

私の場合を話します。

モーレツサラリーマン時代に突然襲われたメニエール病。めまい、耳鳴り、難聴の症状が繰り返します。当時は朝起きるのが、怖いほどでした。

藤原和博『60歳からの教科書』(朝日新書)

同時にそれは、自分の人生を取り戻す「聖戦」の幕開きでもありました。私は、病気を逆手に取って自らの武器にしたのです。

「実はちょっと、メニエールを患っておりまして……」

そう告げると、世間のしがらみが、潮が引くように消えていく。

病が癒えた後も、私はこの免罪符を使っていました。飲み会で2軒目に誘われたときや、出たくない会議があるとき。「メニエール」という符丁は私にとって「個人的な時間」を守る武器になってくれたのです。

「あのとき、もし、発病していなかったら……」

振り返るとゾッとします。会社員として、私はやみくもに踊り続けていたかもしれません。

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