「ワクチン・検査パッケージ等」が免罪符となる危険性

この際だから「平日優遇策」以前の問題である「ワクチン・検査パッケージ等を活用した行動制限の緩和」にもひとこと言わせていただこう。

先日、テレビである報道番組を見ていたら、ワクチン接種証明書を持参した宿泊客を優遇するというホテルを取り上げていたのだが、そこでインタビューを受けていた宿泊客の「証明があれば安全安心。これで経済を回してほしい」との言葉を聞いてゾッとした。

もしや、この宿泊客はワクチン接種をしている人は「安全」だと思っているのではなかろうか。ワクチン接種していれば、人に感染させたり、感染させられたりしないと信じているのではなかろうか。

まさか、PCR検査で陰性ならば「安心」できるとも思っているのではなかろうか。感染している人であれば必ず陽性と出るはずだと信じているのではなかろうか。

今やほとんどの方は正しく理解されていると信じるが、これらの「安全安心」はすべて間違いだ。しかし政府が「ワクチン・検査パッケージ等」を「安全安心」の免罪符として行動緩和に使うと発信した時点で、これらが“間違い”だという正しい理解が吹き飛ばされてしまう。私がゾッとしたのは、この間違った認識を政府が主導的に広めてしまう危険を感じたためだ。

頭ではワクチンもPCRも安全安心を担保するものではないと理解している人でさえ、世の中の空気が変われば「安全安心」と思う気持ちに変わってしまうこともあるだろう。逆にワクチン未接種者やPCR検査をしていない人を、危険人物と排除してしまう気持ちにならないとも言い切れない。

体質や接種に対する不安などさまざまな事情で接種できない人もいる。検査したいと思っても旅行のための自費検査にまでお金をかけられないという人も決して少なくないはずだ。

ワクチン接種で安心安全をうたう“危険すぎるホテル”

政府の意向になびいて「ワクチン接種・検査パッケージ等」によって客を呼び込もうとしているホテルは、ワクチン接種や検査陰性の客を優遇する片方で、これらの条件を満たせぬ人については差別し排除するとの意向を表明していることに他ならない。

それだけではない。「安全安心」どころか「接種したから安全だ」「陰性だから安心よ」という油断のやからが集まる“危険すぎるホテル”になり得るとも言えよう。私はワクチン接種しているが、こういった差別を是とする危険なホテルを利用したいとは思わない。