中国軍の太平洋への進出を阻止する必要がある
ここで防衛省が防衛白書などで使う「逆さ地図」(環日本海・東アジア諸国図)を思い出してほしい。日本列島を中国大陸側から見ると、どう見えるかがよく分かるあの地図である。
中国海軍が太平洋へ進出するには、日本列島を越えなければならない。北海道と本州との間の津軽海峡、九州の佐多岬と種子島の間の大隅海峡、沖縄本島と宮古島の間にある宮古海峡などを通過する必要がある。台湾有事に限らず、日本列島は軍事的に重要な位置にある。
国際的な安全保障を保つためには、日本が同盟国のアメリカなどと協力して中国軍の太平洋への進出を阻止することが求められている。
「中台の軍事的緊張が過去40年余りで最も高まっている」
さていつものように新聞の社説を見てみよう。
まずは10月8日付の産経新聞の社説(主張)。「中国の台湾威嚇 異常な軍用機進入やめよ」との見出しを掲げ、「中国の習近平政権は危うい軍事的威嚇を二度と行ってはならない。地域の平和と安定を乱す振る舞いを控えるべきだ」と訴える。
中国の台湾威嚇は極めて「危うい」。習近平国家主席は国際・地域の平和と安全をどう考えているのか。トップに君臨する人間として非常に情けない。
産経社説は指摘する。
「台湾の邱国正(きゅう・こくせい)・国防部長(国防相に相当)は、中台の軍事的緊張が過去40年余りで最も高まっていると危機感を表明した。中国軍の能力について『2025年にも本格的な(台湾への)侵攻が可能になる』と分析した」
沙鴎一歩が前述したように中国の台湾侵攻の可能性は高い。
さらに産経社説は「中国軍機は戦闘機や爆撃機などが編隊を組み、台湾や、台湾が統治する東沙諸島、米海軍などの艦船を攻撃する能力を誇示した。昼間に加え、夜間も飛来した」と指摘し、「執拗な軍事的威嚇で台湾の人々を屈服させ、併呑したいのかもしれない」と書く。
「併呑」という難しい言葉を使わなくてもいい。要は中国が台湾を従えて配下に置こうということだ。
台湾は領土の一部というのが中国の主張である。この歪んだ中国の主張によって台湾は国連に完全加盟できないという憂き目にも遭わされている。