クレジットカード利用に慎重なZ世代
クレジットカードの広告に惹かれて気軽に申し込み、あれこれ買い物していたら、いつの間にか遅延損害金や金利が膨れ上がっていた――そんなX世代やミレニアル世代の恐怖体験は珍しくない。
借金にまみれたX世代やミレニアル世代を親に持つZ世代は、そうならない見識を持っている。親が苦しむ姿を直接見なくとも、よその家庭の話として聞いており、同じ過ちを繰り返すまいと考えている。私たちの調査では、借金はなんとしても避けるべきだとの回答が23%、少数の高級品にだけ使うべきだとの回答が29%を占めた。最後の手段に取っておくべきだとの回答も18%あった。
ただし、クレジットカードを完全に排除しているわけではない。信用調査機関のトランスユニオンによる2019年の調査によれば、適格年齢に達したZ世代の770万人がクレジットカードを保有している。
これは初期のデータであるため、このトレンドについて結論を出すのはまだ早い。Z世代がクレジットカードを(特に不景気のときに)どう使うのかを理解するには、さらなる調査が必要だ。クレジットカードの作成前に手数料や金利を比較できる状況をどう活用するのか、比較を踏まえて高価な買い物にどういった決済方法を選ぶのかも調査に値する。
今のところ断言できるのは、Z世代の年長層はクレジットカードに慎重な姿勢を取っているということだ。〈Z世代の実態2019〉では、18〜24歳のZ世代の36%が、自分の信用格付けを一月に一度以上確認すると回答した。
Z世代の価値観に合わせた金融決済サービス
消費関連の借金をめぐる状況に、まちがいなく起きる大きな変化が1つある。高価な買い物による借金には清算方法のバリエーションを、信用情報の算定には透明性を、Z世代が望んでいることだ。それを叶える企業も出はじめている。
たとえば、手数料・金利ゼロで支払いを4分割できるSezzle。手数料のリスクを負わずに、クレジットカードの利便性と自由度を手に入れられる。ほかには、利率を明快にしたうえで決済プランを選択できるAffirmがある。これも、今買って、あとで支払い、リスクを把握したいZ世代の要望に応えるものだ。
銀行をはじめとした金融サービスを提供するフィンテックアプリは、教育の領域でもZ世代を助けている。学費ローンの借り換えを可能にするSoFiは、すでに37万5000人以上の学生に利用され、300億ドル以上の借り換えを実現させた。Vaultは、社員が抱える学費ローンを雇用主が立て替える仕組みを提供する。借金から抜け出したい世代に向けた、強力な採用戦略になる。
借金への忌避感が強いZ世代だが、個人向けローンや借り換えサービスへの門戸は広く開かれている。