「借金を背負わずに大学を卒業したい」 

Z世代に大学への願望があることは、調査のたびに証明されている。〈Z世代の実態2018〉では、中高生(13〜17歳)の大学進学志望者は86%にのぼった。しかし、学位を得るためであっても学費ローンを借りることには非常に慎重で、その傾向はZ世代の親にも同じく当てはまる。

一方、アメリカの私立大学は総授業料の半分以上を値引きせざるを得なくなっている。2019年には、新入生の約90%を経済的に援助し、総授業料の6割近くを還元した。

この「大学に行くなら借金を背負わず卒業したい」という考え方は、Z世代全体に広がりつつある。それも経済的に豊かでない層だけでなく、富裕層の家庭でも学費の高騰や、教育の費用対効果に不安を感じている。大学進学前(13〜17歳)のZ世代は、半数が学費ローンを1万ドル以下に抑えよう、27%がまったく借りずにすませようと考えている。

Z世代も親世代も、大学の授業料が大きく値上がりし、若い頃の借金が数十年にわたり重くのしかかるのを見てきた。その経験ゆえに、入学から卒業まで地に足ついた経済状況を保とうと努めている。

奨学金かバイトで学費を工面する大学生が大多数

これは長期的にはどのような影響をおよぼすだろうか。大学卒業時の借金が少なければ、就職やキャリア形成のために別の町に移り住み、緊急時や退職後に備えて貯蓄し、よりよい経済的選択をして収入と負債のバランスを保ち、信用力を育てるのが容易になる。

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借金に対する現実的な考え方が今後も続けば、Z世代は経済的足かせに苦しまずに学位を取得でき、長期的によい結果を生むと考えられる。また、やむなく抱えた負債をできるだけ早く返済したいとZ世代が考えているのなら、企業は学費ローンを肩代わりするプログラムを提供すれば、人材を採用・維持する貴重で有効なツールになる。

〈Z世代の実態2017〉で、大学に支払う授業料をどう工面するつもりかを尋ねたところ、主な回答は次のようになった。(複数回答)

奨学金をもらう 54%
在学中に働く 38%
親や家族が負担する 32%
学費ローンを組む 30%
貯金から支払う 24%

Z世代の大多数は、奨学金か在学中のアルバイトで授業料をまかなうことがわかる。学費ローンと保護者負担がそれに次ぐ結果となっている。