仕事中心の生き方でも子どもが持てる男性
自分はなぜ定年まで働き続けるのか、多くの男性は考えたこともありません。また、そうした仕事中心の生き方をしながらも子どもを持てるのは、女性が家事育児を担ってくれているからなのですが、自分がなぜ仕事中心でいられるのか、これまた多くの男性は考えたこともありません。
対して、女性には妊娠や出産などのライフイベントを経験する人が多くいます。それによって生活を変えたり、キャリアを中断したりせざるを得ないこともあります。職業においても、かつて女性は一般職採用のみという時代がありました。女性は男性よりも、生き方やキャリアが性別によって左右されやすいのです。そして、多くの女性がそのことを知っています。
大半の男性は、性別が人生に影響を与える場合があることを知らず、想像したことすらないでしょう。ですから男性にはまず、この点を想像してみてほしいのです。そうして初めて、女性が性別から受けている影響や、女性活躍推進の意義を考え始めることができるように思います。これは男女不平等の解消に向けて、とても重要な第一歩になります。
男女とも楽になる方策を探るべき
現状では、「女性は大変」という意見を見ると「いや男だって」と反論する男性がいます。女性の積極登用に「逆差別だ」と反発する男性もいます。これは前述の理由に加えて、実は自分の生き方を大変だと感じているからではないでしょうか。
男は働き続け、勝ち続けねばならないから大変だ──。それなら、その生き方から一度降りてみればいいのにと思います。本来なら、男女のどちらが大変かを論じ合うのではなく、男性も女性も両方が楽になる方策を探るべきでしょう。夫婦でいえば、妻が活躍して稼いでくれれば夫も精神的に楽になるはずなのです。
家計の面では収入が増えて余裕ができます。支出についても、今は住宅ローンにも夫と妻それぞれで契約できるペアローンがありますから、「俺一人で返さねば」と気負う必要がなくなります。
家事育児も交互に担当すればいいわけですから、それほど無理な話ではありません。また、夫婦の会話が減って家庭がギクシャクする理由のひとつに、男性は仕事、女性は家事育児という完全役割分担がありますが、これの解消にもつながります。