世界が揶揄している「日本病」

『The International Economy』という世界で超一流の経済誌(年4回発売)がある。同誌はレフリーと呼ばれる人たちが寄稿者を選ぶ。レフリーは、グリンスパン元米中央銀行議長 トリシェ元欧州中央銀行総裁、メキシコ元中央銀行総裁、ジョージ・ソロス氏、ケニス・ロゴフ・ハーバード大学教授、クルーグマンプリンストン大学教授他、経済・金融界の超一流専門家ばかりだ。

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そんな経済誌に私はかなり前から寄稿を依頼されている。今ではほぼ隔号ペースで寄稿をしている。日本人は毎回1~2人だ。JPモルガン時代の実績と発言内容、今までに寄稿した論考の質を評価されているせいだと自負している。原稿料は無しなのだが、大変な名誉なので、下手な英語で今でも頑張っている。

なにも自慢話をするためにこの話をしたわけではない。最近はどうも、日本財政危機説や日銀危機説を書くと、世界の常識であっても「まがい物」の評価を受けるので書かせていただいた。

SNSでは現実離れした珍説であっても多くの信者を作り出すと「専門家」との評価を得てしまう傾向がある。それに対する反発もあった。お金を刷れば何とかなる、と威勢の良いことを語る人は「専門家」でもなんでもない。

その『The international economy』2017年夏号で、「日本病は世界に蔓延するか?」という特集が組まれた。日本では「世界は日本“化”している」と甘っちょろい表現を使われるが、『The International Economy』では、サッチャー登場前の老大国イギリスの経済を世界が「英国病」と揶揄したように、日本経済を「日本病」と厳しく表現したのだ。

先月3日が原稿締め切りだった2021年秋号の特集は「アメリカ経済が日本化するリスクがあるとすれば、どのくらいのリスクか?」で、私も寄稿を依頼された。今回は「日本病」という表現は使っていなかったが、「日本経済はとんでもない状況にある」との世界の認識は変わっていない。

このままでは日本が三流国、四流国に転落する

まずは厳しい日本の現実を正しく認識をすることが第一歩だ。正しい処方箋を書くためには正しい認識が必要だからだ。

英国でサッチャー改革が成功したのは、英国民が現状の厳しさと、それが継続した時の厳しい未来を認識していたからだろう。だからこそ、サッチャー氏の厳しい改革を英国民は受けいれたのだと思う。

自民党総裁選や野党の選挙公約を見ても、為政者にその危機感は全く感じられない。国民の多くもそうなのだと思う。

日本では「40年間で世界最悪の財政状況になりながら、世界断トツのビリ成長しかできなかった」ことへの認識が足らず、政治家もマスコミも国民もあまりに能天気だ。これでは、改革も行われず、日本はこのまま世界の四流国に向けて一直線となってしまう。