秘密のアカウントで本音をつぶやく子どもたち

ネット上で悩みを相談するのは、若い女性が多い。2019年にTOKYO FMの番組「Skyrocket Company」で「ネット上で悩み相談をしたことがありますか?」と聞いたところ、31.2%と3割以上が「はい」と回答。その結果を男女別で見てみると、「はい」と答えた人の割合は男性では22.3%、女性では43.8%と、女性は男性のほぼ2倍となった。また、世代別で「はい」と答えた人の割合を見てみると、若いほど相談率が高かった。

ネットで相談する理由を尋ねると、「ネットはいい意味で他人なのでしがらみがなく気楽」「仲が深い相手に相談しづらいことも、ネットだと気兼ねなく聞けるし、多様な意見が集まりやすい」「顔が見えないからこそ、顔色を気にせず本音が言える」などという。信頼できる知人に相談したい人もいる一方で、しがらみがない人に本音が言いたいと考える人たちもいるというわけだ。

リアルの友だちには悩みだけでなく本音も言いづらいという若者は多い。メインで使っているSNSのアカウント「本垢」では本音を投稿できず、秘密で使っている別のアカウント「裏垢」で投稿することが当たり前となっている。

LINEリサーチの高校生のSNS利用方法に関する調査(2020年11月)を見ると、Twitterのアカウントを複数持つ割合は、女子高生で6割、男子高生で4割強であり、全体では5割を超えた。若者の間では、複数アカウントを使い分けるのが一般的だ。

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若者がネットの匿名性を重視するワケ

複数のアカウントを持つ理由は、「趣味によって分けたいから」「見るだけの専用アカウントが必要だから」「リアルでつながっている人に発言を見られたくないから」や、「鍵つき/非公開にしたいから」「本音や愚痴を言いたいから」もそれぞれ上位にランクインしており、匿名性を保ったまま閲覧や投稿をしたいという人が多い。

「クラスで自分の居場所を保つためには、キャラが大事」と、ある高校生に聞いたことがある。「ツッコミ役がいないからツッコミ役になろうと決めた。本当はネガティブな部分とか弱音とかも出したくなるけど、そんなことして居場所がなくなったら困るから」

さらに、「変なこと書くと、SNSで拡散されることもある。グループLINEとかにさらされたり、Twitterにさらされている子も見たことがある。変なことは書けない」とも言う。若者世代における悩みの相談相手で一番多いのは友達だが、今の子どもたちは居場所がなくなるリスクやSNSで拡散されるリスクを抱えているというわけだ。