生活費12万円の支出は、2つの財布を使って現金主義で

57歳でパート勤務を始めたときは、手取り10万円ほど。内訳は水道、光熱費、通信費、マンションの管理費や修繕積立金、固定資産税の月割り分など、それらを合わせて固定費として5万円。食費1万5千円、そのほか3万5千円と、ざっくりと分けました。この10万円の生活費はやはりきびしく、赤字になる月が多かったのですが、3年後に企業年金5万円が入るようになり、また給料が増えて、手取り12万円になりました。固定費6万円、食費2万円、その他4万円にして、やりくりできるようになりました。

食費2万円のなかには、たとえば友だちと外食したり、息子と食べ歩きに行くときの食事代は入りません。これは「そのほか」の4万円から。同じ外食でも、仕事の帰りに1人でふらりと喫茶店で夕食を食べたときは、食費に計上します。細かなことですが、誰かと一緒に会食したときは楽しい娯楽費なので「そのほか」で、日々のことは「食費」と線を引いています。

「そのほか」の費用には、外食以外、服を買ったりトイレットペーパーや洗剤などの消耗品から、化粧品や美容室、季節の切り花など、さまざまな生活雑費が入ります。

現金は2つの財布で管理し、可視化する

細かなルールのように見えて実はざっくりしていて、やりくりがひと目でわかるように、固定費は引き落としの口座に残し、現金は財布を「食費」用と、「そのほか」用との2つに分けています。

黒いコンパクトな革財布には、毎月初日に4万円入れておきます。キャメルの財布には同じように初日に2万円入れて、その月のやりくりをスタート。

ふだん持ち歩くのは黒の財布1つで、食費用の財布は家に置いています。

たとえば、駅前のスーパーで食材に2500円使ったとします。家に帰ってから、その使った金額分を食費用の財布から黒財布に移すのです。そうすることで、月半ばぐらいになると、「今月はちょっと使いすぎだな」とか「余裕があるから、ストックできる冷凍食品を買っておこうか」と、自分なりに計画できるのがいいところです。

このやり方で、これまで予算をオーバーしたことはほぼありません。お財布に入れておくと、残りが見えるので、減らしたくないな、と思えるのがいいのでしょう。

月末に財布を確かめて「きびしいな」と思ったら、好きなお菓子を買うのをひかえたり、冷凍庫と冷蔵庫のストックだけで料理したり。毎月だいたい少し余るので、それは翌月に繰り越します。いまはキャッシュレス決済がお得、といわれていますが、わたしには2つのお財布でやりくりするのが、合っています。

お金が見える状態だと、自然に無駄遣いがなくなる。

撮影=林ひろし
(写真左)半分に折ったお札とカードが4枚。L字に開く黒いイタリアンレザーの財布は「ドンテポーナ」。食費用のキャメル色の財布はライティングデスクが定位置で、持ち歩かず、使ったら補充します。