安倍前首相や菅義偉首相に支持されていたとの自負心か

経歴を見た限り、いわゆる立派な「地盤・看板・鞄」は持ちわせていないようだ。2世、3世の国会議員でもない。その一方で政治資金集めに長け、自民党内で頭角を現してきたとのうわさもある。自民党内で頭角を現すと、党内の要職のほか、安倍晋三内閣の国土交通省、環境省などの副大臣に抜擢され、安倍政権が成長戦略の柱に位置付けたIR事業担当の内閣府副大臣にも任命された。当然、成り上がっていく過程で、得意の集金力に拍車がかかったはずだ。

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安倍前首相や菅義偉首相に支持されているとの自負心が「無罪だ」との自信に結び付いているのかもしれない。だが、その自信は明らかに歪んでいる。

さらに秋元議員の弁護人は、「無罪引受人」「カミソリ・ヒロナカ」の異名を持つ弘中淳一郎弁護士である。海外に逃亡した日産自動車のカルロス・ゴーン元会長の弁護も引き受けていた。弘中氏は9月7日の判決後に記者会見し、「東京地裁は客観証拠ではなく、供述に依拠する誤りを犯した」と批判した。弘中氏の弁護が秋元議員を勇気付けいているに違いない。

IR担当副大臣の2017年にワイロを受領した

判決によると、秋元議員は収賄罪の共犯として在宅起訴された元政策秘書(懲役2年、執行猶予4年)と共謀し、内閣府のIR担当副大臣だった2017年9月、IRへの参入を希望していた中国企業「500.com」の元顧問2人から議員会館で現金300万円を受領した。中国への視察旅行や北海道旅行の費用なども含め、2018年2月までに計758万円相当のワイロを受け取った。

さらにIR汚職で逮捕・起訴され、1回目の保釈中の昨年6月~7月にかけ、自らの支援者を介して元顧問2人に裁判で偽証するよう働きかけ、その報酬として現金500万円~2000万円の提供を持ちかけた。

判決は「議員会館で現金300万円を渡した」とする中国企業の元顧問2人の証言の信用性を認める一方、スケジュール表をもとに「その日は議員会館へは行っていない」と当日のアリバイを主張して現金の授受を否定した秋元議員の主張を「明らかに証明力に乏しい」と退けた。