携帯代と電気料金を見直す気がない
同様に、稼いでいる意識のある方ほど、いまだに大手携帯キャリアをプランの見直しもせずに使っているケースも多い。今は大手キャリアでも格安プランがありますが、少し前までは「夫婦で格安スマホにすると1万円は違いますよ」とアドバイスしていました。それを聞いても「ですよね~(ニッコリ)」で終わり。電力自由化も同じです。かといって彼らがそういった情報を知らないわけではなく、「だって稼いでるんだからいいじゃない。数千円の差くらい」という、ある意味の思考停止が起きているのです。
人の習慣はなかなか変えられないもの。コロナで柴田さんの収入に陰りが見え、しかもステイホームの続く今こそ貯金がしやすそうに思えますが、妻の陽子さん(仮名)は「お家時間をいいものにしたくて」と、「シルクのこだわりパジャマ」を3万円で購入。いわゆる「ごほうび消費」です。同じタイプのご家庭では、香水のサブスクを始めた人もいました。旅行や外食に使っていたお金を他で使うだけで、結局、消費の方向に動いてしまうんです。
「給料は右肩上がり」の前提を捨てる
私がお客さまのキャッシュフロー表を作る時は、柴田さんのような大企業にお勤めの方であっても、「この先の給与は右肩上がりではない」想定で、収入は平行線で作成しています。企業に体力がない現状、一律に全員が昇給する年功序列賃金はあまりに現実味に欠けると思うからです。
それでも高給取り意識を持つ方は、いまだに「俺はいけるっしょ」と、楽観的な見方をしている方が多い。だから私の“給料平行線キャッシュフロー表”を見た途端、カッとなる。このギャップを少しでも埋めていきたいんです。
実際、社内研修で企業を訪問すると、経営陣の口から「これからは能力や結果の有無で給与がかなり変わってくる」という話を聞きます。
また、このコロナ危機で昔のお客さまからご相談をいただくことも増えたのですが、一流企業の技術職についていた男性からは、福利厚生の変化を聞きました。10年前に羨ましく聞いた熱海の保養所は売り払われ、上場企業が受けられた超低金利の住宅ローンは廃止。さらに家賃補助がなくなって……と、大企業ならではの手厚い福利厚生がすでに過去のものとなっていた現実を知りました。