米中に2周遅れ、欧州に1周遅れの景気回復

製造業はある程度回復、非製造業はまだ全然ダメというのが、現状の日本の状況ですが、世界の中での日本経済全体の回復度合いを見てみると、心もとないと言わざるをえません。

図表2をご覧ください。コロナが蔓延し始めてからの各国の実質GDPの成長率です。「実質」はインフレやデフレを調整したという意味です。

日本、米国、ユーロ圏(ドイツ、フランス、イタリアなど通貨ユーロを使っている17カ国)、中国、台湾、シンガポールの数字を挙げています。

2020年1~3月期は、各国に少しコロナの影響が出始めた頃です。震源地である中国は、前年比で6.8%のマイナスですが、台湾以外は、マイナスです。とくにユーロ圏や英国が2ケタのマイナスです(中国以外は、全四半期比の年率換算)。

それが4~6月期には、非常に大きなマイナスとなりました。日本と米国は年率で前四半期に比べて30%前後のマイナス、影響の大きかったユーロ圏や英国ではさらに大きなマイナスとなっています。

一方、その時期、台湾はプラス、シンガポールは日本や欧米諸国に比べればマイナス幅は少なく済んでおり、震源地の中国は前年比でプラス成長を確保しています。

そして、注目は、その後の推移です。今年の4-6月期まで、中国は5四半期、米国は4四半期連続のプラス成長、感染対策がうまくいっていた台湾はその前からのプラス成長を維持しました。

一方、苦労したのは、日本やユーロ圏、イギリスです。感染の蔓延が大きな原因で、前四半期との比較ですから、2020年7~9月期こそ4~6月期の大きな落ち込みの反動で、プラスを確保しましたが、その後は、低調な成長となりました。シンガポールも低迷しました。