「強み」を生かせるか

京都は、このまま沈みゆくのだろうか?

復活の芽がないわけではない。財政再建についていえば、やりきるには相当の返り血を浴びるトップの覚悟が必要だが、他都市並みの水準まで人件費やサービスレベルを引き下げれば、実はある程度めどが立つ。人口減少対策は、地価を安定させることが求められるが、定住促進戦略でいえば、京都は他都市に比べて優位なポジションにある。

転勤などを除き、人は知らない都市、訪れたことのない都市に引っ越したりはしない。そのため、全国の自治体が進める定住促進対策は、まずは知ってもらい、その町のファンを増やそうと「まず一度わが町を訪れてください」となる。流動人口(来訪者)や応援人口を増やすというのが基本戦略なのだ。

その点、京都市の場合は恵まれている。

京都を知らない人はまずいない。そして、多くの日本人が訪れたことがあり、京都の持つブランド力に憧れを持つ方も多い。意外に語られないが、観光は定住促進の突破口にもなるわけだ。

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※写真はイメージです

こうした素地を生かし、定住促進政策を積極的に展開すれば、他都市に比べ優位に進められることは間違いない。

過去の遺産に胡坐をかいた結果…

政令指定都市の中では沈下傾向にあるとはいえ、任天堂や京セラ、日本電産などに代表されるように、日本有数の企業も多く、恵まれた条件がそろっている。歴史都市・京都の観光資源もブランド力も健在だ。これらのことを考慮すれば、復活に必要な素材は十分すぎるほどある。本来ならば。

ところが、京都では「過去の遺産に胡坐あぐらをかいてきた」という街の声を聞くことが多い。まさしく、これが京都市凋落ちょうらくの真因といえるかもしれない。

財務処理手法の問題、過剰投資、人口減などの社会変化に対応できず、かつて夕張市は破綻した。すべては当時の政治判断の誤りによるものだった。現在の京都市は、夕張破綻から何も学んでいないと言うほかない。

しかし、政治判断のミスで追い詰められたこの状況を乗り越えるのも、また政治判断でしかない。トップのリーダーシップが強く問われている。

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