金への投資に注意が必要なワケ


全米50万部を超えた運用哲学の古典『敗者のゲーム』日本経済新聞出版社 本体価格1600円+税●原題は『Winning the Loser's Game』。初版は1985年。運用哲学の古典として評価され、現在は第5版。金融危機時における投資の原則を説く。

私はインデックス投資を中心としたパッシブ運用を推奨していますが、個別商品への投資についてはどうかという質問をよく受けます。

まず、貴金属や原油といったコモディティ。特に金は、最近まで値上がりを続けてきましたが、ここにきて急落し、動向を注目している人も多いと思います。

コモディティはそれ自身が経済的価値を生むものではありません。そもそも価格変動が非常に激しいものだと私は考えています。よってあまりお勧めはできません。

次に債券。多くの人がこれは儲かると思っているときが一番危険です。投資対象に質の悪い商品が次々と紛れ込んでくるからです。また、短期で売買する際には関係ありませんが、現在は世界中の中央銀行が金利を低水準に抑え込んでいます。そのため債券の価格としては高水準を維持している状態であり、そこに手を出すことは大きな危険を伴います。将来インフレが訪れるかもしれませんし、危機が去ったとき、中央銀行が緩和政策をストップさせるかもしれません。

リスクを最大限に減らし、負けない運用をする「敗者のゲーム」が、投資の世界を支配する鉄則です。投資はパッシブに、そして人生はアクティブに! これが私のルールです。

(プレジデント編集部=構成 澁谷高晴=撮影)