プロの集合知に存分に頼っていこうというのが、私の投資の基本です。大勝ちをすることより、負けないことが重要なのです。以下に守るべき5つの鉄則を示しましょう。

1つ目は自分自身を知ること。自身の投資スキル、保有資産、家族構成、ライフスタイル……。自分自身を知ることで、はじめて自分に合う資産運用が可能になるのです。

2つ目は、投資目標を明確に定めること。現在の市場動向に一喜一憂してはいけません。長期的な視野で投資をするのが、本人のためにも家族のためにも大切なことです。ただ長期投資がいいと言われてもほとんどの人は、その長期が何年を指すのかピンとこないかもしれません。

ここで言う長期とは5年や10年ではありません。現在30歳なら50年、40歳なら40年と、残りの寿命を考えて検討する必要があります。

3つ目は、戦略的ポートフォリオを設計すること。

日本の株式がここ20年ほど下がり続けている現状では、日本株への投資を躊た めら躇われるかもしれません。

しかし、世界にはたくさんの国があります。ほとんどの人は自国の資産ばかりに投資していますが、これは札幌に住んだまま、東京や大阪に行ってみないようなもの。もっと世界中に対象を広げて投資をしていくことが重要です。

4つ目は、多くの運用会社と付き合わないこと。

運用の巧拙以前に、運用に費やすコストに苦しみ、脱落していく人が後を絶ちません。

運用会社を選ぶ基準は7つ。(1)商売よりも職務に忠実か、(2)長期的な視野をもっているか、(3)自立的な思考があるか、(4)会社の環境は健全か、(5)人材の選択・教育に熱心か、(6)組織のコミュニケーションが良好か、(7)社員の給与体系は適切か。余分なコストをかけないためにも、優良な運用者を慎重に選び、数を厳選したうえで任せることが重要です。

5つ目は、みだりに運用方針を変えないこと。

長い期間運用していれば、当然、悪いときもやってきます。だからといって運用方針をコロコロ変えてしまうと、かえって傷口を大きくしてしまう恐れが大きいのです。