「菅首相に命と暮らしを任せて大丈夫なのか」と朝日社説
8月11日付の朝日新聞の社説は「コロナ下の首相 菅氏に任せて大丈夫か」との見出しを掲げ、冒頭部分で「菅政権は酒類の提供対策に続き、入院方針の転換をめぐっても迷走を繰り返した。緊急事態宣言下での東京五輪の強行で、行動抑制の訴えも国民に届かない」と書き、こう指摘する。
「このまま人々の命と暮らしを任せて大丈夫なのか。政治指導者としての菅首相の資質が厳しく問われる局面である」
菅首相に対して退陣して首相を辞するよう、引導を渡しているわけで、見出しとともにかなり手厳しい指摘である。
朝日社説はさらに指摘する。
「政権の対応はしばしば、『後手後手』『場当たり』と批判された。『Go Toトラベル』事業や東京五輪開催への首相の強いこだわりが、判断を曇らせたのではないか」
「これだけの経験を重ねてなお、迷走が続く根っこには、首相の政治手法や政権の体質があるとみるべきだろう」
「強いこだわり」「政治手法」「政権の体質」と菅首相の欠点をあからさまに攻撃する。安倍政権を継承する菅首相を嫌う朝日社説らしい書きぶりだが、たしかに周囲の耳を傾けようとしないこれまでの菅氏の言動を見ていると、その主張も理解できる。
朝日社説は「裸の王様」とまで酷評する
朝日社説は「まずは、首相の根拠なき楽観である」と書き、「首相は感染者が一定数にとどまる楽観シナリオに重きを置いているとされるが、最悪を含め、さまざまな可能性を念頭に対策を準備するのが指導者の責務だ」と主張する。
最悪の事態を想定し、事前に策を練っておくのが危機管理である。菅首相にはその視点が欠けている。
さらに「こうした傾向に拍車をかけるのが、異論を受け付けない、首相の姿勢だ。複数の閣僚や周辺が五輪の中止を進言したが、聞く耳をもたなかったという」と批判し、「首相が『裸の王様』となって独善的に振る舞うなら、専門家を含む衆知を集めた対策など生まれようがない」と訴える。
人の意見や考えを参考にしない菅首相の悪い性格である。朝日社説は「裸の王様」とまで酷評するが、思わず膝を打ってしまう。
朝日社説はこうも主張する。
「五輪を開催しながら、国民に外出や外食を控えるよう求めることが、矛盾したメッセージになるという自覚もないまま、自らの施策の正当性ばかりをアピールされても、聴く者を得心させることはできまい」
その通りだ。菅首相はなぜ、この大きな矛盾に気が付かないのか。