ボブ・マーリーはなぜ生涯ドレッドヘアだったのか

規律は家庭内だけに存在するものではありません。

1930年代のジャマイカで始まった宗教的思想運動「ラスタファリ」と、そのコンセプトである「Livity」(内なるエネルギーと生命力を高めるための自然な生き方)にも欠かせない要素です。

これには、肉、アルコール、加工食品を使わず、場合によっては完全にビーガンの「アイタルフード」や、髪を自然に伸ばし、ピアスやタトゥーを避けて、体を自然な姿に保つことなどが含まれます。

繰り返しますが、「のんびりした、自由奔放なラスタマン」のイメージは、厳しい規律とルールがある実態とは食い違っています。

ボブ・マーリーのようなラスタファリアンや、世界中で有名なレゲエ音楽を生み出した自由な精神の創造性を支えるのは、この規律なのです。

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ジャマイカの規律文化は非常に強力で、社会全体にわたって実行されています。ある人は、こんなことを話してくれました。

「私は、この島のすべての子どもを自分の子どものように見守ります。自分の子のように話しかけ、しつけることが多くなるけれど、それは、わが子にも他の人からこの恩恵を受けてほしいからです」

ジャマイカは、正しく実行される規律の重要性について――特に規律が行動を形作るという意味で――多くのことを教えてくれます。大したことのない場合は、ルールを無視したり曲げたりが、しやすくなるものです。

でも、周囲の人々が違反を容認しなければ、行動もすぐに変わります。自主的に規制を始め、行動の仕方や他人の目をより意識するようになります。

何よりも、あらゆる行動が、どんなときも、自分自身だけではなく、育ててくれた家族をも物語る、ということを忘れなくなるでしょう。

「お気楽さ」とは真逆の精神性をもつ国民

Dr.マンディープ・ライ『世界を知る101の言葉』(飛鳥新社)

オリンピックをきっかけに、ジャマイカという国を知る人は多いでしょう。または、高級コーヒー豆で有名な「ブルーマウンテン山脈」のある国、としてかもしれません。

いずれにしても、「レゲエ音楽が流れるカリブ海の島国」というだけで、自由気ままなお国柄を想像してしまいがちです。けれど、ここまで見てきたように、ジャマイカという国はそれとは真逆の「規律正しさ」によって成り立っています。

かのボブ・マーリーの歌には、それが顕著に表れています。たとえば『ザイオン・トレイン』には、このような一節があります。

「世界を手に入れて、魂を失うな。叡智は金銀より尊い」

ジャマイカの国民は、その精神性において、他国を圧倒するだけの厳格さをもっています。だからこそ、カリブ海の隣国も圧倒して、オリンピックのような大舞台で活躍し続けることができるのです。

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