日本の大企業の課題は「株価の成長力」

もちろん、日本企業の中にも、世界のマーケットを相手に頑張っている企業はあります。

「UNIQLO(ユニクロ)」を展開するファーストリテイリングは日本国内に留まらず、中国、韓国などのアジアや欧米各国で積極的に店舗展開し、ファストファッション業界を代表する国際ブランドになっています。家庭用ゲーム機・ソフトの任天堂(Nintendo)は全世界で数億人のユーザーを獲得し、最近ではコロナ禍の巣ごもり需要をつかんでゲームソフトの「あつまれどうぶつの森」(あつ森)を大ヒットさせました。

また、一般の消費者の目には止まりにくいのですが、電子部品や半導体製造装置、炭素繊維などのハイテク素材といった、いわゆるBtoB型の製品・サービス分野には、世界市場で圧倒的なシェアを持つ日本企業が少なくありません。スマホも、航空機も、それら「メイド・イン・ジャパン」の部品・素材がなければ作れないと言われているのは事実です。

とはいえ、そんな優良企業も含めて、日本の大企業が果たしてGAFAやダウ30銘柄に代表される米国の超巨大企業のレベルまで成長できるでしょうか?

投資という視点で考えた時、日本の大企業の最大の課題は「株価の成長力」です。これから先、今の株価が5倍、10倍になるかと言われれば、残念ながら、それはほとんど期待できないと思います。株価が一時的に急騰する場面はあるかもしれませんし、日本企業が世界中をアッと言わせるような画期的なブレイクスルー商品を開発して、一大飛躍を遂げる可能性もないわけではありませんが……。

写真=iStock.com/Ca-ssis
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日本の大企業に投資をしても、見返りとして期待できるのは配当金というインカムゲインだけで、株の醍醐味である株価の値上がりというキャピタルゲインはあまり期待できません。これでは、投資戦略としては得策とは言えません。

新興ベンチャー株なら株価10倍の銘柄もある

であれば、ここは発想転換!

日本株投資は、上場して間もない新興ベンチャーへの投資を中心に考えてみる方法もありそうです。投資の世界で言う「小型株」です。ベンチャー企業の登竜門と言われる東証マザーズやJASDAQ(ジャスダック)市場には、まだ小粒ながら、伸びしろの大きい中堅企業、ベンチャー企業がたくさん上場しています。日本にはユニコーン企業(創業10年以内で10億ドル以上の市場価値のある未上場のスタートアップ企業)は10社もないとされていますが、その半分の時価総額500億円以内で、上場後10年以内に株価を10倍にまで上げた企業が、実は多数あるのです。

2020年はコロナ禍にもかかわらず、日本の新規株式公開数は久々に過去最高水準になりました。日本政府は2021年を「イノベーション元年」と位置付け、米国や中国を追撃しようと、「日本版SBIR(Small Business Innovation Research)制度」と呼ばれる技術革新支援制度を再構築し、その担い手であるベンチャー企業の育成支援に本腰を入れ始めています。

そんな流れも見据えて、将来性が期待できそうな新興企業に投資をして、長期的な視点でその企業と自分の資産の成長を見守っていく。リスクもありますが、楽しみも多い投資戦略と言えるのではないでしょうか。