官製メディア「新華社」も異例の速さで詳細に事態の推移を報じたが、ミャンマー国軍側の説明をそのまま引用したもので、「政変ではなく現政府に対する大規模な組織改革」と報道された。

ミャンマーのクーデターを受けて2月2日に緊急招集された国連安全保障理事会でも、各国が連携しクーデターを非難する声明を発表しようとしたが、常任理事国の中国の反対でまとまらなかった。これらミャンマー国軍を利する中国の対応に、もともと嫌中感情の強かったミャンマー人の中国への怒りが爆発する。

「中国の技術者は出ていけ!」と抗議

「中国から来たインターネット技術者は早く出ていけ!」、「独裁者を支持するな」。2月10日、ヤンゴンにある中国大使館の前では、数百人のデモ隊が中国語と英語で書かれたプラカードを掲げて、中国への抗議活動を行なった。今回のクーデターで国軍の後ろで中国が関与している、中国が武器や技術者を提供し国軍を支援している、と考えられる証拠がメディアやSNSなどで次々と拡散されたからだ。

地元メディアによると、クーデター発生直後にミャンマー国軍は国際航空路線を閉鎖した。しかし同日、中国・雲南省昆明市から貨物機5機がヤンゴン国際空港に到着した。これらの便には国民のネットアクセスを制限する技術を持つ中国から、「ミャンマーのネットワークを封鎖するための技術設備と技術者を載せてきたのではないか」と疑われた。さらには「民衆を鎮圧するための武器や軍隊も乗っていた」など、様々な憶測を呼んだ。

他のSNSでもマンダレーに展開している国軍の中に、色白で中国人のような顔つきの武装兵士の姿があると投稿され、「すでに国軍兵士の中に中国の人民解放軍兵士が紛れ込んでいるのではないか」と噂が広がっていく。

「HUAWEI買わない、TikTok使わない」人々が続出

これらの情報が拡散されていくと、ミャンマー市民の間で中国製品の不買運動が始まった。市場の生鮮食料品市場で果物を買う時も店員に産地を確認し、中国産は拒否する。ミャンマーのスマートフォン市場でトップシェアの「HUAWEI」、「OPPO」、「Vivo」などの中国製スマートフォンも不買が起こる。さらには若者に人気の中国企業が開発した投稿アプリの「TikTok」の利用を止める人々も続出した。

3月14日にヤンゴンで発生した大規模火災では、中国系企業の縫製工場が何者かに襲撃され、放火とみられる火災が発生した他、複数の中国系工場でも火災が起きた。中国官製メディアの「環球時報」は、合計32件におよぶ中国資本の工場が破壊され中国人従業員2人が負傷。建物の損害額も2億4000万元(約3700万ドル)に達すると報じ、「中国企業に対する『悪意ある』攻撃だ」と伝えている。