「一流の振る舞い」と絶賛される大谷は、運を引き寄せる男

こうした野球選手として向上するための要素が並ぶのは想定の範囲内だが、注目したいのが中心下段の「運」だ。「運」を囲むマスには「ゴミ拾い」「道具を大切に使う」「審判さんへの態度」が記入されている。

2021年7月3日、カリフォルニア州アナハイムのエンゼルスタジアムで、ボルチモア・オリオールズとの1回戦で打席に立つロサンゼルス・エンゼルスの大谷翔平選手(写真=AFP/時事通信フォト)

今シーズン、大谷のホームラン量産が始まった時期の6月21日のタイガース戦では四球で一塁方面へ歩き始めた際、落ちていた小さなゴミをさりげなく拾いポケットに入れる姿が動画でアップされ「一流の振る舞い」「すべての子供の模範だ」と現地で大絶賛された。

だが、これは大谷にとっては高校時代から当たり前に行ってきた行為であり、自然にやったことだろう。「道具を大切に使う」も「審判さんへの態度」もしばしば称賛されるが、これらも身についた態度なのだ。

話題にならないが、3年先輩の菊池もゴミを見つけたら必ず拾い、ロッカーをきれいに使うことで知られている。花巻東時代の「目標達成シート」で培った習慣が、卒業して10年たった今も生かされているのだ。

佐々木監督は教え子たちに「運」を引き寄せることができると教えていた。どんな小さなことでも良い行いをすればいずれ運がつかめると。幸運をつかむ、などというと幸運という見返り目当ての打算的な行いだと受け止める向きもいるだろう。だが、決してそれが目的ではない。日々、良い行いをしていれば、それが当たり前なる。その結果、幸運が転がり込むことがある。大谷や菊池も、そうした自然な善行が大きな実を結んだのだ。

チームメート称賛「大谷はメンタルが強い」「腹を立てず常に笑顔」

とはいえ、大谷はここまでラッキーに恵まれ続けてきたわけではない。高卒後に日本ハムに入団したことで、大谷に二刀流を実現できる才能があることを認めた栗山英樹監督(60)と出会えた幸運はあった。今も、伸び伸びとプレーさせてくれるエンゼルスの名将ジョー・マドン監督(67)と出会う運がある。

メジャー挑戦1年目は新人王を獲る活躍は見せたものの右ひじを痛めて手術を受けることになった。目標達成シートの「メンタル」に「一喜一憂しない」と書いた大谷だから冷静でいられただろうが、二刀流ができる体に戻るかという大きな不安と葛藤があったはずだ。菊池にしても思うように勝てないシーズンは数多くあったが、それを乗り越えて今がある。

大谷のエンゼルスの同僚、マイク・トラウト選手(29)が、7月6日付のスポーティング・ニューズ誌電子版のインタビューで「彼のメンタルにとても感銘を受けている」と述べている。

「彼を見ていると、前の打席(の失敗)を引きずらない。すぐに切り替える。毎日試合に出て、5日おきに登板し、投手として登板する日も打って、それを継続するメンタル。失敗しても、彼が腹を立てているのを見たことがない。常に笑顔でいる」

メジャー屈指の名選手にこう言わせるほどに、大谷のメンタルや人間性は高いレベルにある。それは、高校時代に受けた指導を抜きには語れないだろう。