練習代、ラウンド代、遠征費…双子にゴルフをさせる経済的負担
小学2年生からは、自宅近くの毛呂山町のリンクスゴルフクラブで永井哲二プロのレッスンを受け始め、めきめき腕を上げていった。
そして、前述の通り、明愛も千怜も数々のジュニア、アマチュアタイトルを手に入れ、プロになる日、プロになって勝つ日を目指してクラブを振ってきた。
何から何まで同時に2人分。双子を育てる両親の経済的負担は、ただでさえ大きいものだが、そこにクラブやボール、ウエアやシューズ、練習代、ラウンド代、試合出場のための遠征費といったゴルフの費用が加わった。さらに最初は姉妹2人分だったものが、後には弟・光太を含めた3人分になり、「私は月1ゴルフも我慢するようになりました」(父・雄士)。
昨年、姉妹が全米女子オープンの日本予選に挑んだとき、父・雄士は渡米して出場する費用のことが頭に浮かび、「予選を突破したらどうしようって、内心、ドキドキしていました」。
「『おこづかい、ちょうだい』と言われたことは一度もない」
両親が苦労して家計をやりくりしている姿を間近に眺めてきた姉妹は、だからこそ感謝の念を抱き、自分たちが強くなって両親に恩返しをしたいと思うようになった。
「そう言えば、あの子たちから『おこづかい、ちょうだい』と言われたことは一度もありません」と、母・恵美子は明かした。
今年1月。大学進学を控えた高校生最後の春に、プロゴルファーになったらかなえたい夢を姉妹に尋ねたら、2人はこう答えた。
「賞金を稼いで、朝日がきらきら光る海が部屋の中からガラス越しに見える大きな家を建てて家族みんなで住みたい」(明愛)
「賞金を稼いで、困っている人たちのために寄付をしたい。あんまりお金がないのに私たちにゴルフをさせてくれた両親や祖父母に恩返しをしたい」(千怜)
お金の苦労は、お金を稼ぎたいという最高のモチベーションになり、夢になった。