丸付けは親が担当しても「Excel父さん」になってはいけない

一方、子供の真横や正面に座っているときは、“見守り”が過ぎないよう注意が必要だという。

「コミュニケーションの一環として、丸つけするのはいいですが、監視や叱責は逆効果です。近距離で見すぎると、親は親で間違いを指摘したくなるし『何でできないの!』とイライラしがち。そして子は子で、『わからなければ親に聞けばいい』という思考回路になり、何のために学校や塾に行くのか目的意識を失ってしまうことも。面倒見がよすぎると、自立心が育たなくなるという弊害がありますが、それと同じです」

ましてや、学習進度などを“管理”をするのはもってのほか。

「たまに、Excelで学習進度を管理しているパパもいますが、子供は部下ではありません。受験学年の4~6年生ならまだしも、低学年の子は管理をされても、自由に生きようとします。わが家の小学3年の長男の横でiPadを広げるなどして、そばにいながら違うことをして、ときどき会話を挟んでいます。それくらいの距離感がちょうどいいのではないでしょうか」

低学年の宿題は、勉強ではなく、コミュニケーションツールだと考えよう。そうすれば親子ともに楽しんで取り組めるだろう。

「歯磨き、トイレ」と同列で「1日5分の家庭学習」を親子で

さて、この「1日5分の家庭学習」。富永さんは、これを毎日の歯磨きと同様に考えるべきだと話す。

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「1~2年生のうちは、『歯磨き、トイレ、5分勉強』という意識で、1日5分の学習をトイレや歯磨きと同じステージに置くことが大事です。例えば、運動会の後などでどんなに疲れていても歯磨きやトイレはしますよね? それと同じで、夕飯前の5分間に食卓で学習させるなど、簡単なルーティンに落とし込むのです。慣れるまでは、子供が何か好きなことに没頭し始める前、疲れや眠気が出ていない時など、親が適切なタイミングを見計らって呼びかけてあげるといいでしょう。やがて旅行先でも自然とノートを広げるようになれば、ルーティーン化の成功です」

勉強を勉強だと思わない低学年のうちこそ、この習慣を定着させることがポイントだ。

「3年生までに学校以外の勉強に全く触れたことがない人が、4年生から勉強すると、勉強へのハードルが高くなってしまいます。塾に行く、席に座る、教材を開く、帰宅する。このサイクルだけで疲れてしまう。その点では、低学年のうちから通塾して場所や人に慣れること自体は、少なからず意義はあります」

それでも、どうしても「1日5分」が達成できない家庭もあるだろう。ここで強引に机に向かわせて勉強嫌いさせてしまっては、本末転倒である。本人が「今日できなかったから明日まとめてやろう」「公文式の宿題はまとめて何日か分をやっておこう」というならば、そのペースに任せるのもアリだという。

「結局、型にはめなくていいのが低学年。今のうちに自分のペースで好きなように、気持ちよく勉強させてあげることが重要です」

「歯磨きと同じく重要な習慣」だと体得させつつも、それがつらくて孤独な体験にならないよう、一緒に楽しみながらやること。この2つができるのが、まさに低学年。鉄は熱いうちに打つべきなのだ。

(構成=プレデントオンライン編集部)
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