改竄の発端は「森友学園に対する国有地の大幅な値引き売却」

赤木ファイルには、財務省理財局と近畿財務局との間で送受信されたメールやその添付文書も含まれていたが、差出人や宛先などは一部黒塗りにされていた。たとえば、財務省理財局の職員が2017年3月20日付で赤木さんら近畿財務局職員に送ったメールには「佐川局長からの指示により、(決裁文書は)現在までの国会答弁を踏まえたうえで作成するよう直接指示があった」などと記されていた。財務省理財局の職員名は黒く塗り潰されていた。

森友学園に対する国有地の大幅な値引き売却。これが改竄問題の発端である。

まず、安倍晋三首相(当時)が国会で「私や妻が関係していたら首相も国会議員も辞める」と答えた。次に改竄当時、財務省理財局長だった佐川宣寿のぶひさ氏が「森友学園との交渉記録は廃棄した」と虚偽答弁を行い、その2日後には安倍氏の妻で、森友学園が開設しようとしていた小学校の名誉校長に就任していた昭恵氏についての記載を決裁文書から削除するよう求めるメールを財務省理財局が近畿財務局に送った。

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2018年3月の国会での佐川氏に対する証人喚問で野党は「安倍首相や官邸を忖度したのではないか」と追及したが、佐川氏は「刑事訴追の可能性がある」と証言を拒否した。

「佐川理財局長らが真相を語ることが不可欠だ」と朝日社説

財務省は改竄を指揮したのは佐川氏だったと認めている。だが、佐川氏が改竄を指示した理由については解明されていない。佐川氏はだれに、そしてどこに気を使ったのだろうか。赤木さんの妻の雅子さんが訴訟で強く求めているのは、この問いに対する答えである。

6月24日付の朝日新聞の社説は「赤木ファイル 佐川氏は真相を語る時」との見出しを掲げ、こう書き出している。

「公文書改竄という民主主義の根幹を揺るがす行為に、財務省はなぜ手を染めたのか。担当部局以外の幹部や首相官邸は、本当に何も知らなかったのか。改めて突きつけられた疑念を晴らすには、佐川宣寿元理財局長ら関係者が、公の場で真相を語ることが不可欠だ」

改竄はいい意味で言われることはなく、悪用されるケースについて使われる言葉である。財務省、国は佐川氏に責任を押し付け、佐川氏はトカゲの尻尾切りにされた格好である。ならば、佐川氏自らが真実を明らかにして国家の犯罪行為を正すべきである。