欧米では「共同管理型」が主流

逆に、夫が家計を管理して妻に小遣いや生活費を渡す「手当(夫管理)型」は、日本は17.3%と少数派。このタイプは海外のほうが多い傾向にあり、特にトルコやメキシコ、韓国など夫の権力が強いとされる国では高い割合になります。

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一方、欧米では上記2つのタイプは少なく、家計を互いの所得から出し合って一緒に管理していく「共同管理型」が主流です。2012年時点で50%以上にのぼっている国も多く、この傾向は共働き家庭が増えるにつれてますます強まっていくと考えられます。

ところが、日本も共働き家庭は少なくないはずなのに、「共同管理型」は35カ国中最低の11.2%。「妻管理型」が圧倒的に多く「夫管理型」が少ないことも考えあわせると、日本の家計管理スタイルは非常に特徴的であり、海外とはまったく違うということがわかってきます。日本は、家計管理に関してはかなり珍しいタイプの国と言えるでしょう。

日本の「異質さ」は随所に

実は国際比較データを見ていると“日本の異質さ”によく遭遇します。さまざまな調査で、日本だけ海外とは違った数値・特徴になることが多く、まさにガラパゴスの国だなと実感することもしばしばです。なぜこうした結果が出るのかと、社会学者としては興味がつきません。

日本でも、多くの家庭が農業などの家業で生計を立てていた頃は、夫管理型がもっと多かったはずです。現在でも、自営業の家庭だと夫管理型が多くなる傾向があります。しかしその後、夫が会社で働き妻が家事育児を担う「専業主婦社会」に移行し、仕事で忙しい夫に代わって妻が家計管理をするようになりました。これがやがて慣習になり、それが共働きが増えた今でも続いているのではないかと思います。

こうした家計管理のありかたは、一見、妻にとってメリットが大きいように思えます。「夫が稼いで妻が消費する」と言われる通り、昼間のデパートに男性はほとんどいませんし、夫が仕事先でワンコインランチを食べている間、妻は友人とホテルランチという話もよく聞きます。

また、「小遣いが少ない」という愚痴も、夫側からはよく聞きますが、妻側からはあまり聞こえてきません。これらはある程度収入のある家庭に限った話かもしれませんが、妻にとっては、「主婦」の位置を確保しつつ財布の紐をにぎることが居心地のいい環境につながっている可能性はあるでしょう。