勝負の日には握手をして決意を表明する
今日があなたにとっての「勝負の日」なら、いつもどおり振る舞って気負っていないフリをするのではなく、素直に緊張していることを伝えたほうがいい。誰だって大切な日には緊張するものだ。
むしろその精神状態は、あなたが目の前のことに真剣に取り組んでいる証拠なのである。そんな勝負の日にうまくいくための、自分なりのジンクスをつくろう。
たとえば撮影当日、現場には監督やカメラマン、照明、美術など様々な立場の人が集まる。このようにそれぞれ立場の違う人が同じ時間を共有するときは、対立も起こりやすい。いい仕事にしたいと同じ方向を向いていても、それぞれのアプローチが違うからである。
僕は撮影当日、現場の長となる映像監督に朝一番に握手を求めるようにしている。自分より年齢や経験がいくぶん先輩であっても、である。そうすることで仲間意識と心理的安全性が生まれ、僕も監督も互いに相談しやすくなる。
突然握手を求めるのは恥ずかしいが、「勝負の日は握手すると決めてるんです」とマイルールをかざして、恥に立ち向かうようにしている。
握手はあくまで一例である。赤いネクタイを身につける。髪型を変えてみる……方法は何でもいい。自分なりのうまくいくジンクスをつくり、それを周囲に示すことで、あなたの仕事に向き合う姿勢がみんなにも伝わるのだ。
恥ずかしい経験は笑い話にしてしまう
誰だって自分の恥ずかしい経験を人に知られたくはない。しかしそれは、「恥ずかしいから隠している」のではなく、「隠しているから恥ずかしい」とは考えられないだろうか。
恥の経験をいつまでも心の中に閉じ込めていると、トラウマのように残ってしまう。自分の弱さや不完全性を人に見せることを避けていると、いつまでもその恥はあなたを追いかけてくる。
そして似た出来事に遭遇したときに、「また同じ結果になったらどうしよう」と恐怖を感じて、体がこわばってしまうのだ。過去の出来事を恥として自分の中に閉じ込めているかぎり、その恥を克服することはできない。
しかしその恥は、人に話せば笑い話になる。人がしないような間違いや行動を自分がしたことで、周りに驚かれたり笑われたりした経験が人の恥として記憶される。つまりその出来事は、他人が聞いて笑えるエピソードである可能性が高い。
まず、当時あった出来事をノートに書き出してみよう。書き出すことで、当時の状況や自分の言動、そして周りの人のリアクションを客観的に見直すことができる。そしてそのエピソードを、心を許している身近な友だちに一度聞いてもらおう。きっと友だちは笑ってくれるはずだ。
人に話すことではじめて、わたしたちはその恥を克服し、受け入れることができるのだ。