語るのは「行為」「状態」にとどめよう
また、口に出すにしても、一般論や法則性の方を言うのではなく、「事例の方を話題にする」という選択ができるかもしれない。
実際、「○○はすべて(/たいてい)こうだ」と言うよりも、「こういう○○がいた」とか「こういうことがあった」という事例そのものを話題にする方が、無駄に敵を作るリスクが低くなるし、実のある議論にもつながりやすいだろう。
他人について何か言うとき、その「行為」や「状態」そのものではなく「性質」に言及するのも、「一般論に広げすぎ」な発言になりがちだ。
たとえば、誰かが靴紐を結ぶのに苦労しているのを見て「あの人は不器用だね」などと言うのは、相手の行動(靴紐を結ぶのに難儀していること)を観察しただけで、相手の一般的な性質(不器用だということ)を決めつけていることになる。自分の発言が「広げすぎ」になっていないかをチェックするには、主語だけでなく、述語にも気をつけた方がいい。
人間である以上、「一般論に広げすぎる」という傾向から逃れることは難しいが、もし「ほんの少し、自分の言葉を振り返ってみる」ことで軋轢を避けられるなら、それをやってみるに越したことはないのではないだろうか。
「冗談」の取り扱いも要注意
ユーモアはコミュニケーションの潤滑油だが、ユーモアのあるところを見せようとして悪い結果を招いてしまうことも少なくない。
とりあえず、相談者の冗談が全然面白くないということは脇に置いておこう。ここでは、冗談のつもりで発した言葉がトラブルに発展するケースについて考えたい。冗談が他人との軋轢を引き起こすパターンにはいくつかあるので、順に見ていこう。