「クラブハウスブーム」とは何だったのか

【緒方】クラブハウスがはやったのも、そういう背景がありますよね。「人の声が聴きたい」という欲求が高まった。映像がないからZoomに比べて気軽ですし。

合成音声技術を活用したプラットフォームを提供するコエステ執行役員の金子祐紀さん。『ボイステック革命 GAFAも狙う新市場争奪戦』より

【八木】「寂しさ」とか「つながり」ですね。2021年に入ってからのクラブハウスブームは、音声SNSの序章だったんじゃないかという気がします。ツイッターの音声チャットルーム「Spaces」が出てきて、フェイスブックも音声サービスに参入しますし、音声SNSという場所そのものは定着するような気がします。それがクラブハウスなのか、ツイッターのSpacesなのかフェイスブックの音声SNSなのかはわからないですが。

【金子】「クラブハウス祭り」は、SNS的な側面よりも、有名人がたくさん人を集めてセミナーや講演をやるという場だった気がしています。それであれば、普通に「そこでマネタイズできるようにすれば」という話じゃないかなと。

【八木】クラブハウスは、広告はやらないけれど、イベントのチケット課金とサブスクリプションと投げ銭はやると言ってます。芸能人がそれをやればもうかるんじゃないですかね。

それが出てくると、次のステップに入るのかなという気がします。

【金子】それだと、あんまりSNSって感じはしませんね。

【八木】音声イベント会場ですよね。

革命レベルの変化が起きている

【八木】ただクラブハウスの影響で、音声メディア、音声サービス全般も恩恵を受けているんじゃないかと思います。

【緒方】ボイシーはすごく伸びました。(2021年の)1月は30%、2月は60%伸びたので。クラブハウスとボイシーは相性がいいと言い続けましたし。

【八木】僕がやっている音声広告のオトナルも恩恵を受けていますね。営業が回りきれないレベルの問い合わせが来ました。みんなが「音声コンテンツいいな」ってあらためて気付いたんじゃないでしょうか。確証はないですが、ほかの音声メディアも、アクティブユーザーが増えていると思いますよ。

【宮坂】ラジコは、この間数字が出ていましたが、すごく伸びてるみたいです。

これまで音声と言えば電話とラジオでした。コミュニケーションは電話であり、コンテンツはラジオだった。そこから比べると、ここ数年というのはどう考えても革命レベルの変革が起きています。今も進行しているので、まだ結果がわからないんですけど、今すごい変革の時だという気がしています。