象徴天皇制を意図的に「形」にしていく必要がある
美智子さまは結婚当初からマスコミを味方にしてきた。そこには軋轢もさまざまあったが、それでも自分を見せる覚悟のようなものがあった。「民間出身初」の皇太子妃として、それがサバイバルの道だったかもしれない。私はそれを「卓越した被写体」と感じ、御厨さんは「切り札」と表現した。僭越だが、そう思う。
その構図が今も続いていることを、「コカリナ」と「点字楽譜」の記事で思い知った。市井の人々とのつながりを大切にする美智子さま。ゆかりの場所に足を運び、窮状を知れば救いの手を差し伸べる。これこそが、皇室。美智子さまは「象徴天皇制」を「形」にして見せてくれる。
ここでやっと今回の本題、皇室の広報戦略について書く。令和の皇室は、象徴天皇制を意図的に「形」にして見せていく必要があると思う。
昭和から平成、美智子さまに「意図」はなかったはずだ。自然に振る舞ったら、切り札になっていった。が、令和という今、それでは追いつかないと思う。小室圭さんと新型コロナウイルス。二つの想定外の要素があるからだ。
国民の頭に占める「小室さん」を相対的に小さくする
大半の国民にとって、今「皇室」といえば小室さんだろう。秋篠宮家の長女眞子さまとの婚約が内定している小室さんは、5月にフォーダム大ロースクールを卒業、7月にニューヨーク州の司法試験を受験する。その後に一時帰国? 母・佳代さんは入院? いやいや元気? そんな小室さん母子の動向が週刊誌やネットニュースを通じ、毎日のように流れてくる。
「金銭トラブル」の説明文書を公表→「借金でなく支援」と強調→4日後、代理人が「解決金」の支払い検討を明かす。4月のこの流れが裏目に出た。文書作成には眞子さまも関わったという宮内庁の説明も、むしろ批判の矛先を眞子さまや秋篠宮家に向けてしまう結果を招いてしまったようだ。
結婚時に眞子さまに支払われる、1億円超の「一時金」。これが「アンチ小室」の原点にあり、その感情はコロナ禍でますます強くなっているだろう。だからこそ、皇室は「小室さんでない情報」を出す必要があると思う。
こんな公務をした、宮中祭祀に臨んだ。そういう日常の情報でなく、人柄に触れられるような情報。そう「コカリナ」や「点字楽譜」のような情報が増えれば、国民の頭に占める「小室さん」は相対的に小さくなる。目指すはそれだと思う。